当院では、毎週火曜日の午後2時~4時において、子どもから大人までのアレルギー性疾患に対して専門医が診療を行っています。

ご活用下さい。

アレルギーとその対応策について

1 アレルギーとは

人間には体内に侵入してきた異物に対しての防御機構(免疫反応)があり、人によっては特定の物質に対して過剰な免疫反応を起こす現象がある。これが「アレルギー」であり、引き起こす原因物質を抗原(アレルゲン)という。

2 アレルゲン

数多くあり、主なものはホコリ(ハウスダスト)、ダニ、カビ、花粉、イヌやネコのフケ、食べ物などである。

最近の住宅は気密性が高く暖かで湿度が高いのでダニが繁殖しやすい。ダニの絶好の住家はタタミ、じゅうたん、寝具、ソファー、ぬいぐるみなど。カビも同様で湿気を好む。

イヌやネコ、ハムスターなどのペットの毛やフケや分泌物はそのものがアレルゲンになるが、ダニも増える。

花粉ではスギ、ヒノキは春、ハルガヤ、カモガヤは夏、ブタクサ、ヨモギは秋の代表的なアレルゲンである。

昆虫ではガやユスリカなど(秋)。

食物では卵、牛乳、大豆、小麦、ソバなどが主なもの。

アレルゲン以外にもアレルギーを発症、増悪させるものとしては排気ガス、タバコの煙などがある。

3 遺伝的要素

アレルギー関連の遺伝子の解明が進められているが、今だに確立はしていない。

両親、兄弟、親族にアレルギー(アトピー)体質の人がいる家系では、同じ環境下でもそうでない人に比べ発症率は高い。

4 アレルギーが起こる仕組み

アレルゲンが侵入し担当免疫細胞が働きIgE抗体(免疫たんぱく質)が作られ再度、相当アレルゲンに暴露すると化学伝達物質(ヒスタミンなど)が担当細胞(肥満細胞や好酸球など)から放出され、色々なアレルギー症状が起きる。

5 アレルギーマーチ

食物アレルギーを起こした子どもが次はアトピー性皮膚炎、それから気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎と次々と成長とともにアレルギー疾患にかかっていくことがある。これを「アレルギーマーチ」という。できるだけ早く原因検索を行い、環境改善をし、治療を正しく行うことが大切である。

代表的なアレルギー疾患

今や日本人の3人に1人は何らかのアレルギーがある時代である。

(1) 食物アレルギー

乳幼児期は腸管の消化機能が未発達なため大きな食物アレルゲンがそのまま血中に入りアレルギーを起こしやすい。3歳を過ぎ成長するにつれてアレルギーを起こさなくなり6歳になると8割が無症状となる。

除去食が基本だが栄養のバランスを崩して成長障がいにならないよう工夫する。ストレスを貯めるとよくない。

(2) アトピー性皮膚炎、じんましん

生後2~3ヶ月頃より顔から始まり徐々に体、四肢にかゆみの強い湿疹が出現する。食物やダニ、カビなどがアレルゲンとなる。

スキンケアが大切で、清潔に保ち、ぬるま湯にし、ゴシゴシ洗い過ぎず、乾燥症状には保湿剤(ワセリンやウレパールなど)を用いる。

成人発症のアレルギーも増加しており、環境整備し、ストレス解消に努める。薬物療法はステロイド外用薬が主体となるが、全身症状が強ければ抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の内服を併用する。

(3) 気管支喘息

空気の通り道である気道におこるアレルギー性の「慢性炎症」が病態。炎症の程度がひどくなると咳、痰、呼吸困難発作をきたす。

また気道過敏性が強い人ほど重症化しやすい。

小児喘息は大抵6歳までに発症し、対処法を誤らなければ7割程度は思春期までに自然寛解(無治療で症状がでなくなる)する。3割は成人喘息に移行し1割は難治性喘息になり得る。

重症化させないためにはまず、原因検索をし、環境整備(精神面も含めて)をして、適切な薬物療法を行い、病気を「自己管理」してゆく姿勢が重要である。喘息はきちんと管理すれば普通の健康な人と同じように活動できるし現にオリンピック選手もいる。ただし症状があるのに放置し、いい加減にすると「発作死する病気」であることは銘記しておく。

薬物療法は長期管理薬として吸入ステロイド薬が主役で、早期使用で確実に重症化を抑制する。ロイコトリエン拮抗薬やテオフィリン薬も併用することがある。最近は吸入ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬の配合薬が登場し、効果を発揮している。発作時には短時間作用型β2刺激薬を上手に用いる。中等症以上ではピークフローメーターによる自己管理が有用であり、ACT(喘息コントロールテスト)を活用する。

(4) アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症

通年性のアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の原因はハウスダスト(ダニ)、カビ、ペットの毛やフケが主なもの。季節的には春のスギを代表とした花粉症がある。

対応は生活環境の改善に尽きる。ほこりの溜まりやすい所はこまめに掃除機を使い、また拭き掃除をする。

畳の上にじゅうたんはダニの最も好む環境なので避ける。布団はできれば天日干し湿気を取る。

薬物治療の他に、スギ花粉症では少し時間がかかるが(2年程度)、根本療法(免疫療法)として減感作療法が有効である。アレルギー性鼻炎があると気管支喘息を発症しやすいので、症状が続けばきちんと治療しておく。

  • スギ花粉症の舌下免疫療法(シダトレン)当院で可能です。
    受付はアレルギー科(毎週火曜日・午後、内科、小児科にお問い合わせください。)