「高梁川流域の起業人」第7回

「高梁川流域の起業人」第7回

「高梁川流域の起業人」焼肉たにもと 代表 谷本義子さん


谷本さんが「夢の実現」と書かれた紙を持っている画像


 笠岡市で生まれ育った谷本さん。焼肉店をはじめる前は、農協での勤務を経て、同級生で夫の光晴さんが営む谷本牧場の肉牛を精肉として出荷する作業を手伝っていました。飲食店経営の経験はもちろんありませんでしたが、「地元で店を出して、自分たちが手がけた肉を食べている人の顔を見たかった」(谷本さん)という夢を形にしようと、起業を決意したそうです。


 資金、場所、人材。この3つをどう確保するか、最初は悩む日々でした。開業資金は2つの金融機関から借り入れ、出店場所は駐車場が広い青果市場の空き店舗を確保できました。運営スタッフも、知り合いにたまたま元焼肉店スタッフがいたため店長に抜擢。谷本さんは「運が良かった。人との出会いやつながりというものがありがたかった」と振り返ります。


 店のポリシーについて、谷本さんは「味、サービス、価格」の三つを掲げ、確実に実践しています。肉は谷本牧場で長期間飼育された和牛と乳牛の交雑種のメスに限定。価格にも気を使い、接客も手を抜きません。生産直販店は笠岡市内では他にない「ライバル不在」状態ですが、谷本さんは「お客さんに喜んでもらわないと次が無い」ときっぱり。開店から2年経ちましたが成果が実り、リピーターは徐々に増えているそうです。


「焼き肉 たにもと」のお店の外観画像


 今後の展開について谷本さんは、農業分野との連携を描いています。たとえば自家栽培した大豆で豆腐を作り、おからを牛のエサにするといった、畜産から消費まで地産地消のサイクル形成を模索しています。


 「自営業は自己責任でリスクもあって大変。だけど夢を持てる。それがいいところですね」と力をこめる谷本さん。これからも夢の実現に向け、突き進みます。


お客さんで賑わう店内と、注文を聞く谷本さんの画像