倉敷駅周辺誘導案内施設整備計画 T.計画の目的と対象 1.計画策定の目的と背景  倉敷駅周辺には、公的施設等へ誘導案内するための公共サインが設置されていますが、現状のサインを計画した当時は、 サインの表示や形状に関してバリアフリーやユニバーサルデザインの考え方を盛り込んだ基準などが示されていませんでした。  しかし、平成6年のハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)、 平成12年の交通バリアフリー法(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律)、 及び平成18年の新バリアフリー法(高齢者、身体障害者等の移動の円滑化の促進に関する法律)の施行により、 だれもがわかりやすい快適な移動空間の整備や、安全、安心なまちづくりが進められるなか、倉敷駅周辺のサインも、 バリアフリーやユニバーサルデザインの視点からの見直しが必要になっています。  倉敷駅周辺誘導案内施設整備計画では、平成18年3月に策定された「倉敷市交通バリアフリー基本構想」を踏まえ、 バリアフリーさらにはユニバーサルデザインに配慮したサイン整備を目指すとともに、計画策定に当たり、より広く市民、 障害者、高齢者、外国人、事業者等の参画を図ることにより、あらゆる利用者の立場に立った検討を行い、 だれもが分かりやすく、見やすい、さらに景観にも配慮したサインの整備方針を定めることを目的とします。  なお、整備するサインの表示内容、表示方法、形状等については「倉敷市公共サインガイドライン」に基づき、 国等で示されているサインの整備基準レベルをクリアするサイン施設の整備を目指します。 2.計画策定の体制と手順  倉敷駅周辺誘導案内施設整備計画の策定における検討体制としては、学識経験者、高齢者、障害者などに加え、 観光・商工関連団体、関連行政機関からなる検討会を設置して検討を進めるとともに、多くの市民に参加いただき、 現況のサイン点検やワークショップを実施しました。  また、パブリックコメントによる意見募集により、市民から広くご意見をいただくとともに、倉敷に不案内な観光客等の 来訪者に必要な案内誘導のあり方を把握するため、アンケート調査を実施しました。 3.計画の位置づけと対象 (1)計画の位置づけ  倉敷駅周辺誘導案内施設整備計画は、「倉敷市公共サインガイドライン」に基づき、平成18年3月に策定された 「倉敷市交通バリアフリー基本構想」の重点整備地区である倉敷駅周辺地区を対象として、歩行者等の誘導に係る サインの整備を進めるための計画です。 (2)計画の対象となる範囲  倉敷駅周辺誘導案内施設整備計画では、重点整備地区内において定めた特定経路及び準特定経路を中心に、 順次誘導案内施設の整備を行います。  なお倉敷市では、親しまれてきた名称であるため「倉敷市美観地区」を固有名詞として使用しています。 (3)計画の対象となるサイン ■サインの種類  誘導案内のためのサインは、以下の4種類があります。 ○案内サイン類 簡潔な表現に工夫された図表等を用いて、諸施設等の位置関係を図解するもの ○誘導サイン類 簡潔な施設名等に矢印を併記して、目的場所の方向を指し示すもの ○位置サイン類 簡潔な施設名やピクトグラム等を用いて、目的場所の位置を告知するもの ○規制サイン類 一般にピクトグラム等を用いて、利用者の行動を規制するもの  現在、倉敷駅周辺で整備されている主な公共サインは、案内サインと誘導サインの2種類です。案内サインは、 倉敷駅南口の総合案内サインと、主要観光施設等への経路上に設置された案内サインがあります。誘導サインは、 主として美観地区周辺までの誘導を目的として設置された石造のサインと、その機能を補完するための 誘導サイン表示パネルが設置されています。 また、美観地区については景観に配慮したデザインの道標型誘導サインが設置されています。 ■整備計画における対象サイン  倉敷駅周辺誘導案内施設整備計画では、歩行者の安全な移動のための誘導案内施設として、 案内マップを表示する案内サインと、移動経路上に設置される誘導サインの2種類を対象とします。 U 整備の基本方針 1.サインの整備状況と課題 (1)サイン施設の現状  倉敷駅周辺誘導案内施設整備計画の策定にあたり、基本構想で定めた倉敷駅周辺地区重点整備地区について 特定経路・準特定経路、及び美観地区内における、現在の誘導案内施設の整備状況を調査しました。  対象範囲内には、車両用の案内誘導サインや個別施設の位置サイン、規制サイン等のサインも整備されていますが、 本計画の整備対象である、歩行者の移動に係る誘導案内施設を対象に施設の状況を調査しました。 ■計画対象範囲内の誘導案内サイン整備状況  ・市設置の案内サインが11基、その他主体による案内サインが2期  ・市設置の誘導サインが36基、その他主体による誘導サインが15期  美観地区やJR倉敷駅デッキ上では、民間施設が設置した誘導サインも見られますが、主に特定の民間施設 (公共性の低い施設)への個別の誘導サインのため、上の表にはその箇所数は含まれていません。  サインの整備位置は次のとおりです。サイン施設の現状については、国土交通省の 「観光活性化標識ガイドライン(平成17年6月国道交通省総合制作局)」における、「整備にあたっての留意事項」の 項目に沿って整理しました。 ■計画・設置と管理に関する現状と課題 1.掲載情報に関すること ・観光案内情報の記載が少ない。 大半の来訪者が観光目的であると考えられる美観地区の案内サインでも掲載情報は市街地内の案内マップと同じ。 ・掲載されている施設等の基準が不明瞭。バス停やバリアフリー施設等の表示がない。 2.配置に関すること ・誘導サインの配置が偏在している。主要な交差点等でサインが全く見つからない地点はないが、中央通りでは 特に分岐点がない区間で複数の誘導サインが設置されている場所がある。 ・後づけの誘導サイン(表示板のみ貼付)が多い。 3.設置位置に関すること ・植栽やごみ箱等のかげになり、見づらいサインがある。 ・車いす使用者や足の不自由な人等が近づきにくい案内サインがある。 ・道路(進行方向)と平行に設置されているサインが多い。 ・表示板下端50cm〜60cmの低い位置に設置されたサイン、逆に下端2m以上に設置された案内サインがあり、 どちらも表示面が見づらくなっている。 4.設計施工に関すること ・一部の案内サイン・誘導サインの表面が光を反射するタイプの仕上げになっている。 ・サイン本体施設は、周辺環境になじむ素材(石材)を使用しており、統一されたデザインで整備されている。 ・夜間の案内誘導に配慮したサインが少ない。(照明等がない) 5.連携に関すること ・誘導サインの距離標の間違いがある。 ・他の案内サインの位置を示すマークは表示されていない。 ・同一箇所に民間で設置したものや管理主体が違うサインが混在している。 ・美観地区内で民間施設が設置した誘導サインが目立つ。 6.管理に関すること ・表示板表面が汚れている。一部誘導サインでは文字がほとんど読めない状態のものも見られる。 ・案内マップの情報が古いものや更新されていないものがある。 ■表示方法に関する現状と課題 1.レイアウトに関すること ・誘導サインの地色は白・文字は青(一部反転パターンあり) ・案内サインのベース図は中間色だが、文字・ピクト等に原色(コントラストが強い色)は使われていない。 ・代表的な誘導サインの文字サイズ:40mm(英文20mm) ・案内サインの文字サイズ:施設名6mm(英文3mm) ・規制サイン(自転車放置禁止、駐車場関連サイン等)や屋外広告の色彩明度が高いため誘導サインより目立つ。 2.言語表記に関すること ・英語表記は基本的に和文の1/2のサイズで表示されている。 ・市立美術館周辺の誘導サイン(観光関連機関により設置)は英語表示がない。 ・観光インフォーメーション及び一部の案内マップは4カ国語表記だが、その他は2カ国語表記。 3.案内マップに関すること ・地域案内図は900mm四方に約1.5km四方範囲が表示されている。 ・広域案内図は900mm四方に約30km四方範囲が表示されている。 ・美観地区は750mm四方に約1km四方範囲が表示されている。 ・地域案内図は、立ち位置と地図の向きが同じになるように設置されている。 ・公共サインは、正確な地形図を基準に作成されている。配布用観光マップでは、単純化・デザイン化されたイラストを 使用しているものが多い。 ・現在位置マークが小さく、目立ちにくい。現在位置の文字サイズは10mm、色はえんじ色(DIC727)。 4.表示方法に関すること ・ピクトグラムはホテル、駐車場、トイレ、交番、郵便局、バス停、案内所を表示するのに使われているが、 全国統一JISピクトではない。 ・矢印は下向き、折れ曲がり矢印、二方向矢印が多く使用されている。 ・案内マップではピクトグラムとあわせて施設イラストを使用している。(美観地区周辺の観光集客施設) ■その他の現状と課題 1.地域特性に関すること ・商店街ではアーケードに吊り下げ型の誘導サインを設置している。 ・美観地区では景観に配慮した石標の誘導サインを設置している。(高さ98cm、文字サイズ40mm) 2.ユニバーサルデザイン・バリアフリーに関すること ・点字表記が整備された案内誘導サインはない。 ・音声案内施設が整備された案内サインはない。  点検調査で明らかになったサインの実態について、国道交通省のガイドラインと照らし合わせ問題点を検証しました。  現在のサインは1994年(平成6年)に策定された「倉敷市公共サイン基本計画」に基づき計画的に整備されていますが、 それ以降、全国的にバリアフリーやユニバーサルデザインへの取り組みも進んでいることから、高齢者や障害者、 外国人等の視点からの課題が多くなっています。 ■計画・設置と管理に関する現状と課題 ○掲載情報に関すること ・観光客の求める情報を把握し、それらを優先させて掲載する必要がある ・掲載する施設や拠点については、地域特性と利用者のニーズを勘案して掲載基準を決定する必要がある ○配置に関すること ・誘導サインの配置に偏りがあるため、誘導案内の機能に絞った効果的な再配置計画が必要である ・サインが多すぎる区間については、集約する必要がある ○設置位置に関すること ・高齢者や車いす使用者が近づきやすくする必要がある ・進行方向に対して平行に設置されたサインについては、表示方向の変更やインフォメーションマークの設置等 目立たせる工夫が必要である ・道路上の設置物や植栽によりサインが隠されたり近づけなくなったりしている箇所については、 市民や事業者等への指導や協力依頼が必要である ○設計施工に関すること ・反射等による視認性を確認し、設置場所や素材の選定が必要である ○連携に関すること ・サイン間の情報、配置の連携だけでなく、配布されている案内地図や民間によるサインとの連携を図る必要がある ○管理に関すること ・情報更新のための管理システム構築が必要である ■表示方法に関する現状と課題 ○レイアウトに関すること ・案内地図の色のコントラストを強くする必要がある  その場合、弱視者や高齢者、色覚障害者への配慮、特に色覚バリアフリーに対する配慮が必要である ・文字サイズを現状より大きくする必要がある ○言語表現に関すること ・英語表記の文字サイズを現状より大きくする必要がある ・原則的には日本語、英語の2カ国語にピクトグラムを加えて表記することが必要だが、主要地点(総合案内サイン等)では 多言語表記が求められる ○地図に関すること ・地域案内図の表示範囲が広い(縮尺が大きい) ・現在位置をはじめ、利用者がほしい情報がもっと分かりやすく表示される必要がある ○表示方法に関すること ・ピクトグラムをより積極的に活用するとともに、表示サイズを現状より大きくする必要がある ・矢印の使い方に問題があるところもあり、全体的に見なおす必要がある ■その他の現状と課題 ○メディアの相互連携 ・観光案内所等で配布されているマップや民間設置のサインとの連携を図る必要がある ○地域特性 ・商店街や美観地区内でのサインは、景観や観光活性化の視点から最適な方法での情報提供を検討する必要がある ・バス停、バスターミナルの誘導案内を関係者との調整のもと進める必要がある ○ユニバーサルデザイン ・主要地点(総合案内サイン等)では、点字や音声案内など効果的な手法の組み合わせによる案内が必要である ・バリアフリー施設の表示や車いす使用者のためのバリアフリー経路(もしくはそれに準ずる経路)の表示を検討する 必要がある (2)来訪者アンケート調査 @調査概要  倉敷駅周辺誘導案内施設整備計画の策定にあたり、対象地区での誘導案内の状況を把握するため、 来訪者アンケート調査を実施しました。実施概要は以下のとおりです。 ○対象箇所 倉敷駅周辺 (主として美観地区:下図参照) ○実施期間 平成19年8月18日(土) 9:00〜17:00 ○調査方法 聞き取り調査 ○有効回答数 253件 ○主な質問項目 ・旅行の概要(行き先・人数・日程等) ・交通手段と問題点 ・市内のサインについて(見やすさ、利用しやすさ等) ・商店街について(訪問の有無、商店街の印象等) ○主な調査位置 ・倉敷駅 ・倉敷市観光休憩所 ・観光案内所(倉敷館) ・アイビースクエア A調査結果 ■観光客の特徴 ・回答者の過半数は倉敷を訪れるのが2回目以上であり、旅行日程としては日帰りでの訪問が多くなっています。 ・訪問の交通手段としては、JR利用者と自動車利用者の割合は概ね同程度ですが、市内では徒歩による観光が 主体となっています。 ■サインについて ・来訪者の過半数は観光時にサインを利用しており、サインの「わかりやすさ」「見やすさ」「見つけやすさ」については、 回答者の約80%から「よい」という評価を得ています。 「分かりにくい」と回答した理由として、「駐車場が分かりにくい」「バス停が分かりにくい」という声がありました。 また、見にくい理由としては、「字が小さい」という理由が多く見られました。 ■経路のわかりやすさ ・回答者の7人に1人は、移動中に迷ったり方向が分からなくなったりしています。 迷いやすい地点としては、商店街から美観地区に行くときという回答が多く見られました。 ・誘導サインには、場所(目的地)への方向だけでなく、距離や時間の表示が欲しいという意見も見られました。 ■商店街について ・回答者の30%が商店街を訪問し、そのうちの40%が商店街で買物や飲食をしています。 しかしながら、商店街の印象は、60%(35人回答中)が「寂しい」「さびれている」「暗い」という結果となっています。 ・商店街を通って美観地区や倉敷駅に向かう人のうち、4人に1人は目的地までの行き方が分からなかったと 回答しています。 (3)ワークショップによるサインの現況調査 第1回ワークショップにおけるサインの現況についての意見を、それぞれの点検項目に分類し課題として整理しました。 以下の課題は住民の意向と地域特性を反映するニーズであるため、ガイドラインだけでは定められない地域独自の 対策を検討するための課題として整理しました。 ■計画・設置と管理に関する現状と課題 ○掲載情報に関すること ・観光客を対象とした情報提供が必要   観光客に何を見せるかの検討が必要   美観地区の施設など観光客にとって必要な情報を見やすくする表現方法が必要   駐車場位置など第一接触箇所の情報は、ビジターにとって重要な情報であり確実な情報提供が必要 ・情報の更新・メンテナンスが重要   古い情報や、「旧○○跡」は、来訪者には意味をなさない。継続的な情報更新が必要 ・提供する情報内容   目的地までの距離か所要時間の提供が必要 ○配置に関すること ・適切な配置が必要   多すぎないこと、少なすぎないこと、適切な間隔に配慮した検討が必要(減らすことも要検討)   サイン配置の連続性に充分な配慮が必要   一定の規則によるわかりやすい配置が必要 ・その他の課題   サインを配置する場所が無い場合、やむなく反対側歩道を利用して設置することも検討する。 ただし、文字サイズと視点場からの距離には充分な配慮が必要 ○設置位置に関すること ・設置高さについて(車いすなどにも配慮)配慮が必要   誘導サインの設置高さは、目線の高さを基本とすることが望ましい   車いすへの配慮が必要   必要に応じて路面標示を用いる検討も必要 ○設計施工に関すること ・利用者が表示面を見やすい配慮が求められる   光を反射しやすい素材は使わないことが望ましい ○連携に関すること ・サインシステムに関する課題   設置スペースや見やすさによっては案内サインと誘導サインを一体して整備する検討が必要 ○管理に関すること ・障害物の排除   樹木、植栽、ゴミ箱などサイン表示を隠している障害物については、各管理者間の連携により適切に配置 することが必要 ■表示・レイアウトに関する課題 ○レイアウトに関すること ・文字サイズでの配慮   文字サイズは視点場からの距離に合わせた検討が必要   誘導サインは現行の1.5倍程度が望ましい ○言語表現に関すること ・外国語表記での配慮   トイレの案内などにも外国語表記が必要 ○地図に関すること ・ピクトグラムや目的物の表現手法の配慮   建物の形状を図で示すなどの工夫が必要 ○表示方法に関すること ・ノイズの排除   サインや地図はシンプルな表現のほうが見やすいため、不必要な情報や装飾は排除することが必要 ・充分なコントラストが必要   文字と地色のコントラストを強くすることが必要   サインを目立たせるために、背景色と地色のコントラストが必要 ・その他の課題   観光スポットや強調する箇所は、文字サイズや色を変えるなどの工夫が必要 ■その他の事項課題 ○メディアの相互連携 ・人による案内   お店の人が教えてくれるなど、人の案内(サイン)も重要。場合によっては、認定制(案内マスターなど)を検討。 地域としてのホスピタリティが必要 ○地域特性 ・地域にあったサインを設置   商店街らしいサインの検討が必要   美観地区は景観に配慮した、わかりやすいサインシステムが必要 ○ユニバーサルデザイン ・音声案内の利用検討   音声による誘導案内の導入が必要   音声で、サインや点字表示の設置箇所を知らせることが必要 ・その他の課題   どこで情報が入手できるかがわかるサインシステムの検討が必要 (4)サイン整備の課題  前項までの調査結果から、倉敷駅周辺のサイン整備に関する課題は次の4点に整理されます。 @誘導案内を必要とする人が見つけやすいサインデザイン  現在整備されている石造のサインは、周囲の景観に溶け込むように配慮されていますが、デザイン的に 顕在性が低いため、観光客からは見つけにくいものになっています。どんなにきめ細かい誘導案内情報が提示されていても、 見つけにくいサインは来訪者に不安感を与える不親切なものとなってしまいます。 主要道路の沿道に整備されている現サイン施設は、本石を使用した景観になじむ優れたデザイン性を有するものですが、 本計画でのサイン整備にあたっては、まちなみ景観へ十分な配慮をしながら、誘導案内を必要とする来訪者が必要な場所で サインをすぐに見つけられるようなデザインを再検討することが重要です。 A必要な情報を分かりやすく表示  ワークショップでの現地検証における意見で最も多かったのが、サインの文字サイズが小さい、 色のコントラストが弱い等の原因による、表示内容の分かりにくさの指摘でした。 また、案内マップにおけるピクトグラム使用が少ないこと、ひとつの誘導先に対して2方向の矢印が表示されているなど、 初めて倉敷を訪れる人や外国人にとって不可解な表示内容が多くなっています。  不特定多数の訪問者に対して、一目で分かる誘導案内や、情報内容が理解しやすい表示を行うことは、 サインにとって最も重要な課題です。 歩きながら方角を確認するための誘導サインは、一定の距離からでも明確に文字や進行方向が認識できることが重要であり、 施設種類や地図情報を掲載するにあたっては、年齢や国籍に関係なく、その情報が理解できるような表示手法を 検討する必要があります。 B高齢者や障害者等への配慮  現在整備されているサインのなかには、健常者と比較して一般的に,視点が低い高齢者や車いす使用者にとって表示面が 見えにくい形状や、サインそのものに近づきにくい状況の施設がいくつか見られます。また、色のコントラストが弱い表示や、 音声案内や点字表示での情報提供がなされていないことは、視力の弱い方にとって情報を入手しにくい状況となっています。  高齢化がますます進行している現在、すべての人が安心・安心に移動できるサイン整備をめざすことが, 重要な課題となっています。  市街地内のサインを見ると、植栽やゴミ箱、商店街内の陳列物等により、サイン表示面の一部が隠れた施設や、 視力の弱い人が、表示面を近づいて見ることの出来ない施設もいくつかあります。 サイン施設の整備だけでなく、住民や事業者の協力によって、来訪者への思いやりをもった誘導案内機能の向上を図ることが 大切です。 C計画的かつ効果的なサイン配置  本市は、年間600万人以上の方が訪れる観光都市です。 アンケート調査では、来訪者の大半が徒歩で観光拠点間を移動することがわかりました。 代表的な観光地である美観地区周辺には、現在でも様々な整備主体によるサイン施設が整備されていますが、 設置場所が偏っていたり、商店街での誘導案内が不足していたりと、来訪者の行動に則した配置になっているとはいえません。  だれもが分かりやすい案内誘導を実現するためには、来訪者の行動経路を踏まえた計画的な配置計画の検討が必要です。 また、最小限のサインによる効果的な誘導を実現することにより、まちの景観に配慮することも重要なことです。 2.サイン整備の基本方針 (1)サイン整備のコンセプト  本市のサイン整備に関する4つの課題を解決するため、交通バリアフリー基本構想の理念である「ひと、輝くまち 倉敷」を 踏まえ、だれもが安全、快適に移動できるまちの実現に向けたサインシステムの実現を目指します。  サイン整備にあたっては、観光都市「くらしき」としての地域特性を十分考慮し、来訪者へのおもてなしの心と、 だれもが倉敷のまちでの滞在を満足して快適に感じられるための情報提供を目指します。 ■観光都市「くらしき」として、ホスピタリティにあふれたサインシステムの実現 ○おもてなし=思いやりのあるまちづくり   倉敷をおとずれる様々な立場の人々にとって、必要な情報がふさわしいかたちで提供されることを目指します ○だれもが快適に過ごせるまちづくり   倉敷のまちでの滞在が、より心地よく快適な時間となるように、受け手にとって満足度が高くなるような情報提供を 目指します ○安全、安心な行動を支えるまちづくり   健常者はもとより、高齢者や障害者の移動がより多様な手法でサポートされるように、きめ細かな配慮による情報提供を 目指します (2)サイン整備方針  観光都市「くらしき」として、ホスピタリティにあふれたサインシステムを実現するため、バリアフリー、ユニバーサルデザインの 視点を重視したデザインによりサイン施設を整備し、計画的で効果的な施設配置により誘導案内の向上を図ります。 整備にあたっては、行政、観光関連団体をはじめ、住民や事業者それぞれがサイン事業に対する理解を深め、 地域全体でおもてなしの気持ちがあふれるまちづくりに取り組みます。 ■倉敷駅周辺誘導案内施設の整備方針 ○バリアフリー、ユニバーサルデザインの視点を重視したサインデザイン  ・表示デザイン(文字サイズ、色彩など)、設置位置等(施設サイズ、高さなど)については、標準的な基準にバリアフリーの 視点を重視した指標を加えて設定する  ・特に色彩デザインについては、色覚バリアフリーを十分考慮した設計とする  ・案内誘導するルート上で重要な地点(行動の起点や主要な分岐点など)では、点字や音声案内、多言語案内等の 積極的な導入を図る ○来訪者の視点による効果的・計画的なサイン配置  ・交通バリアフリー基本構想の特定経路、準特定経路に基づく誘導ルートを設定するとともに、来訪者のニーズを踏まえ、 効果的な案内誘導ができるようにサインを配置する  ・来訪者が安心して移動できるように、必要最小限のサインを配置し、不正確なサインや利用者に不安を与えるような 誘導表示等のサインは集約、撤去する ○関係機関等との連携・調整によるサイン整備  ・商店街や美観地区では、商工・観光関連機関と十分調整を図り、景観形成や地域活性化に配慮した整備を行う  ・景観やまちなみ形成とのバランスを考慮し、できるだけシンプルなデザインかつ適切なサイズのサインを整備する  ・現サインの基礎や枠等、既存資源をできるだけ利用した整備を行う  ・表示情報は、観光関連機関や民間等による既存サインや配布用観光案内地図と連携した内容とする V サイン機能整備計画 1.サインの機能と役割 (1)サインの機能  本計画で整備対象となる2つのサインは基本的に次のような機能を担います。 ○案内サイン 利用者の現在地と方角を知る 現在地と目的地との位置関係(目的地までの方向と大まかな距離)を把握する ○誘導サイン 目的地までのルート上であることを確認する 目的地までの方向と距離を確認する 注)案内サインと連携すべき配布用観光マップについては、「行きたい施設(個別)の詳細な位置、 その他観光等の情報を把握するもの」として位置づけます。 (2)移動経路におけるサインの役割  施設分布や道路整備状況、来訪者の目的によって、目的地までの移動パターンは変化します。 来訪目的が観光である場合、目的地が多数あり分散している場合は回遊型傾向が強く、集中していて少ない場合は 直進型傾向で移動します。  倉敷駅周辺地区をみると、大半の来訪者の目的地は美観地区と考えられます。 このように特定の目的地に直進的に移動するための誘導案内機能としては、原則的に最短経路を選択するための 誘導サインを重点的に整備することが効果的です。 2.サイン配置計画 (1)サイン配置の基本方針  JR倉敷駅を行動起点とした重点整備地区での誘導案内は、誘導目的となる施設や拠点に対して、 倉敷市交通バリアフリー基本構想における特定経路及び準特定経路を誘導ルートとして設定することを基本方針とします。  倉敷駅周辺でサインを必要とする利用者の大半は、美観地区へ行くことを目的とした観光客と考えられます。 そのため、JR倉敷駅から美観地区及び周辺の主要施設等を誘導目的地とし、特定経路である中央通り (駅前古城池霞橋線)と準特定経路である商店街を誘導ルートとして設定して案内誘導を行います。  同様に、交通バリアフリー基本構想で指定された特定経路と準特定経路であるJR倉敷駅から倉敷中央病院へのルートは、 沿道及び周辺に倉敷郵便局や医療福祉施設など、住民や来訪者が多数利用する施設が立地していることから、 主要施設への誘導が必要なルートとして誘導案内を行います。  また、市内外から不特定多数の人が多く訪れる倉敷市民会館と倉敷市芸文館については、美観地区への誘導ルートから 連続して施設への誘導を行うルートを設定します。 ■案内サイン及び誘導サインの配置の考え方  誘導ルート上における歩行者の誘導案内は、案内サインと誘導サインにより行います。それぞれのサインの機能を踏まえ、 効果的な誘導案内のための配置を行います。 ○案内サイン ・案内マップは原則として、市全域または現在地の周辺約1kuを表示範囲とします。 ・配置位置は、来訪者の行動起点となる地点、もしくは観光施設、観光資源となる場所において、観光客が多く目にすると 思われる地点とします。 ○誘導サイン ・誘導表示は誘導経路上にある誘導目的となる施設名、及び配置箇所周辺の主要施設名称に、誘導方向を示す矢印と 距離標を併記します。 ・施設及び観光資源等の誘導サインは、原則として誘導経路の分岐点となる交差点、もしくは交差点前後の歩道上に 設置します。 (2)誘導ルート・誘導案内拠点の設定  倉敷駅周辺地区の誘導ルート及び誘導案内拠点を、以下のとおり設定します。 ■誘導ルートの設定 @観光誘導ルート:JR倉敷駅から美観地区周辺までの誘導  ・倉敷駅周辺地区では、倉敷チボリ公園と美観地区を誘導すべき観光拠点とします  ・交通バリアフリー基本構想における特定経路及び準特定経路をルートとして設定します A施設誘導ルート:JR倉敷駅から倉敷中央病院への誘導  ・交通バリアフリー基本構想における特定経路及び準特定経路をルートとして設定します Bその他の誘導ルート  ・倉敷市民会館と倉敷市芸文館へは、美観地区までの誘導ルートから連続して誘導できる歩道を誘導ルートとして 設定します ■案内誘導拠点の設定 @行動起点・誘導拠点  ・行動起点はJR倉敷駅と設定します  ・案内サイン及び周辺の主要施設への誘導サインを設置します  ・行動起点では、地区及び広域の総合的な誘導案内情報を提供できる機能を整備します A分岐点(中拠点:主要交差点に設定)  ・誘導ルートが分かれる地点、誘導ルートが交差点で曲がる地点では、案内サイン及び誘導サインを設置します B連絡点(小拠点:経路上の交差点等に設定)  ・誘導ルート上に交差点がある場合、または直線のルートで一定以上の距離がある場合、誘導サインを設置します Cルート案内  ・並行する2つのルートを結ぶ経路がある場合、各ルートへの案内のための誘導サインを設置します (実際には、分岐点・連絡点で併せて表示される機能と想定) ■美観地区内の誘導案内について 美観地区内は誘導ルートを設定せず、主に案内サインによる情報提供の充実により、地区内の誘導案内機能を整備します。 地区内に設置された既存の案内サインと倉敷公民館に設置する案内サインは、より詳細な地区案内と、駅・商店街方面への 分かりやすい誘導案内表示を行います。また、倉敷駅から商店街を経由するルートにおいては、連続して倉敷川畔まで 分かりやすい 誘導を行うために、誘導案内機能の充実を目指します。 (3)サイン施設の配置計画  配置方針で設定された各拠点において、求められる役割を果たすサインの機能を整理するとともに、拠点上に設置すべき 施設位置と施設数を設定します。  誘導ルートでのサイン利用者の大半は、歴史的まちなみを残す美観地区での観光を目的とした観光客といえます。 従って、倉敷駅周辺地区でのサイン整備においては、美観地区に至る倉敷のまちなみの特徴である伝統的で落ち着きのある 景観づくりに配慮する必要があります。  計画的な施設配置によりサイン施設の設置箇所を最小限に抑えることは、質の高い景観形成に寄与することにも つながるため、各拠点で十分に役割を果たすための設置位置と必要最小限の施設数を設定します。  美観地区においては特定拠点への誘導ルートは設定しませんが、倉敷のまちの魅力のひとつである路地や小路への 誘導については、サインに期待されている部分もあります。 そのため、美観地区内の案内サインは、地区周辺での回遊性を保ちつつ、観光客の自由な散策行動をサポートすることを 目指し、他の拠点より表示範囲を狭く設定した、詳細な案内が可能な案内マップを整備します。 3.表示内容とレイアウト (1)案内マップの掲載情報  施設等の掲載情報については、「倉敷市公共サインガイドライン」の情報掲載基準に基づき選定します。 倉敷駅周辺地区での案内サインに設置する案内マップは、周辺都市との位置関係や広域的な交通機関の経路を確認するた めの広域案内マップ、現在位置と移動経路を確認するための周辺案内マップ、周辺の主要施設や道路がわかりやすく表記 された地域案内マップの3種類とします。  一般的な案内サインに掲示されるのは、主に徒歩での移動範囲を示した周辺案内サインですが、主要な行動拠点である JR倉敷駅等では、鉄道等で広範囲で移動する人のために広域案内マップを併せて表示します。また、多くの観光客が集まる 美観地区では、より具体的な施設案内情報を提供できるように、縮尺の大きい地域案内マップを表示します。  それぞれの縮尺と役割は以下のとおりとします。 広域案内マップの縮尺は1/15000〜20000で周辺都市との位置関係を把握する役割をはたします(総合案内サイン) 周辺案内マップの縮尺は1/1000〜1500で現在地から目的地までの移動経路を確認する役割をはたします 地域案内マップの縮尺は美観地区の範囲で施設や地区の詳細情報を把握する役割をはたします(美観地区内の案内サイン)  案内マップの掲載施設は、「倉敷市公共サインガイドライン」の情報掲載基準に従い選出しますが、 地域案内マップについては、美観地区周辺の観光関連団体や事業者等とともに、観光・商業施設等の掲載を 個別に検討することが必要です。 (2)表示面のデザイン  表示面の色指定、文字サイズ等については、「倉敷市公共サインガイドライン」の基準にもとづくデザインとします。 @案内マップ ○色彩  はっきりとしたコントラストを確保するとともに、色覚バリアフリーを考慮たし配色とします。 ○文字サイズ  施設名・丁目名は文字高さ10o、英語6oとします。 ○ピクトグラム・マーク  施設表示に使用するピクトグラムは全国統一JISピクトグラムとします。また、現在案内マップに使用されている建物イラストは、 以前から市の観光パンフレット等で使用され、長期にわたり市民や来訪者に親しまれてきたため、引き続き施設マークとして 使用することとします。 ○その他の表示  サインの顕在性を高めるため、表示面の最上部にインフォメーションマークと現在地を示す地点名称を表示します。 また、高齢者や障害者が安心して移動できるためのめやすとして、バリアフリー経路を表示します。 A誘導サイン表示面 ○文字サイズ  主要誘導拠点の表示については、最大15mの視距離を想定して、文字高さ60o、英語表記48oとします。 その他の誘導拠点については、従来の文字サイズと同じ40oで表示します。 ○その他の表示情報  サインの顕在性を高めるため、表示面の最上部にインフォメーションマークと現在地を示す地点名称を表示します。 ○デザイン・レイアウト  サイン形状及び色彩のトーンは景観に配慮したものとしますが、アクセントとして黄色を使うことで、歩行者から表示面を 見つけやすくします。 (3)美観地区のサイン施設整備 @美観地区のサインの現状  美観地区内の公共サインは、案内サインが3基(東町の既存石造サインと、本体が木製のサイン施設2基)設置されています。 また、誘導サインは石造道標型のサインが整備されています。 A美観地区のサイン整備  JR倉敷駅方面から美観地区までの誘導をみると、商店街を通るルートから倉敷川畔までの誘導機能が不十分なため、 道に迷う人が多くなっています。そのため、倉敷公民館周辺から倉敷川畔方面への誘導機能の強化を図り、 倉敷公民館に顕在性の高い誘導サインを整備します。  原則的に、美観地区内での施設整備においては、景観法に基づく条例等によりデザイン面で強い制約があります。 しかし、夜間照明や音声案内等、観光客のニーズやユニバーサルデザインに対応できる機能とするため、 景観に配慮したデザイン・材質について関連機関等と十分調整を図ったうえで、美観地区にふさわしい施設デザインを決定する ものとします。 4.関連施設整備 (1)倉敷駅前地下連絡道の案内  JR倉敷駅前の地下連絡道は、倉敷駅周辺誘導案内施設整備計画で設定した誘導ルートではありませんが、 駅前広場1階から美観地区や中央病院に向かう人々にとって、行動起点から誘導拠点へ移動するための経路となっています。  地下連絡道については、地上での誘導案内情報が不足しているため、現在は非常に利用しにくい状況にあります。 そのため、本計画における誘導ルートを補完する経路として位置づけ、倉敷市公共サインガイドラインを踏まえたサイン表示を 整備します。 (2)バリアフリー対応や移動円滑化のための設備の位置サイン  本計画による誘導対象の施設として、誘導サイン表示に「公衆トイレ」と記載することはありませんが、 対象地区内のすべての案内サインにおいて、公衆トイレは全箇所表示します。 また、駅前デッキから地上階へ移動するためのエレベータ等、バリアフリー関連の設備についても、同様に全箇所表示します。  施設の位置サインについては、市が設置するものと公共交通機関等が設置するものがありますが、 どちらの場合も「倉敷市公共サインガイドライン」に基づき整備することを基本とし、サイズやデザイン、 設置位置等の基準を満たしていないものについては、順次改善を進めることとします。 (3)計画対象区域内における誘導ルート以外での施設整備  一番街周辺の地区など、本計画で誘導ルートが設定されていない経路については、今後周辺の市街地整備事業等と調整 しつつ、住民ニーズに応じて、誘導案内のためのサイン施設を整備することとします。  サイン配置については、行動起点及び誘導目的地点と誘導すべき安全なルートを十分検討し、 サイン施設と表示面のデザイン等については、倉敷市公共サインガイドラインに基づく整備を行うこととします。 W.サイン施設整備計画 1.施設デザインの考え方  設置するサイン施設については、「倉敷市公共サインガイドライン」に基づき、高齢者や障害者等に配慮した 表示面の高さや向きを確保できる形状とします。  案内サインと誘導サインは、道路(歩道)上に設置される施設のため、サインとして必要な機能を果たすとともに、 まちなみになじむデザインや色について、配慮する必要があります。 そのため、倉敷駅周辺地区の地域特性等を踏まえ、サインのデザインに関する基本方針を以下のとおり設定します。 ■施設デザインの基本方針 ○倉敷のまちなみ景観に合うデザイン ○連続性・統一性を確保できるデザイン ○だれもが見やすいシンプルなデザイン ○サインとして必要な「見つけやすい」デザイン ○既存サイン施設をできるだけ活用したデザイン 具体的には次の基本方針のもとサイン施設のデザインを検討します。 ●現在ある石造サイン施設を活かしたデザイン 市民に親しまれてきた石造サインを取り込んだ形状を考える ●不必要な装飾のないシンプルなデザイン 視力障害者や高齢者が見やすい・見つけやすいシンプルな形状や表示面とする ●サインとして必要な高さと顕在性を確保したデザイン 誘導案内を必要とする歩行者が見つけやすい形状を考える 2.案内サイン (1)行動起点・誘導拠点のサイン(総合案内サイン)  JR倉敷駅前や美観地区内など、多くの来訪者にとって詳しい誘導案内が必要と思われる地点では、 周辺案内地図以外に様々な誘導案内情報を表示した、総合案内サイン施設を整備します。 総合案内サインは、だれもが見やすいように、垂直パネルの施設デザインとし、車いす利用者や高齢者、子ども等の利用 しやすい高さや、近づいて利用できるためのゆとりやすき間に配慮して設置します。 @音声案内、点字表示  総合案内サインでは、表示による誘導案内だけでなく、視覚に障害のある人のために音声及び点字による誘導案内機能を 配慮します。  音声案内は、メーカーにより多様なシステムが混在しており、今後は官庁主導で規格の統一や共用型携帯端末等も普及 することが予想されますが、現在はだれでも利用できるよう、専用端末や携帯受信機等を使用しないシステムの方向とします。  主な音声サインの種類としては、@サインの存在を知らせる誘導鈴タイプ、A音声による地点や経路用のアナウンスタイプの 2つがあります。 重要な誘導案内ポイントである行動起点や誘導拠点においては、誘導案内サインが設置されていることを知らせる機能も 必要であるため、総合案内サインには上の2つの種類の音声サインを検討します。  Aのアナウンスタイプの音声サインは、サインパネルに設置されたスイッチ(ボタン)を押すと案内アナウンスが流れるタイプを 検討します。 Aその他求められる機能と配置  一般的に総合案内サインでは、周辺案内マップと併せて広域案内図が設置されることが多く、その他、周辺の主要施設への 誘導や、駅前には公共交通等の情報提供機能が整備されることもあります。  倉敷駅前総合案内サインについては、来訪者アンケート調査等での課題を踏まえ、住民によるワークショップで必要な機能を 検討しました。 これら住民ニーズを十分考慮し、総合案内サインの機能、配置を決定することとします。 B倉敷駅前総合案内サインの機能検討  総合案内サインには多様な機能が求められますが、サイン施設の適切な大きさやデザイン、設置箇所の周辺状況や歩行者 動線等を考慮し、機能の選択と配置設計を行う必要があります。特に、不特定多数の来訪者にとって重要な情報拠点である 駅前の総合案内サインでは、利用者のニーズだけでなく施設や情報の維持管理、市の玄関口として、デザイン面からの 視点からも検討が必要です。 (2)誘導拠点・分岐点のサイン  誘導目的である施設周辺や、分岐点である主要交差点では、総合案内サインと統一的なデザインの案内サインを設置します。 誘導拠点では、必要に応じて誘導サインを併せて整備します。  既存の石造サインが設置された地点では、スラント形状(表面の傾斜部分)の案内マップを新規作成するとともに、 サインの顕在性を高めるため、誘導サインパネルを併設します。 3.誘導サイン (1)既存サイン施設を活用する箇所でのサイン  既存サイン施設は施設高さ・誘導サイン表示面ともに低く、歩行者からの視認性が低いため、既存サインの隣に、 新規にパネル型誘導サインを整備します。  既存サイン本体は、表示面をスラント形式(傾斜のついた表示面)に改良し、設置地点からJR倉敷駅及び誘導目的地までの 案内マップ(簡易表示)を設置します。 (2)施設を新設する箇所でのサイン  現在誘導サインが設置されていない連絡点では、既存施設の隣に設置されるパネル型誘導サイン施設に準じたデザインの 誘導サイン施設を整備します。  歩行者の進行方向に対して垂直の誘導が必要な場所では、歩道に対してパネルの表示面を垂直に設置します。  歩行者の進行方向に対して平行の誘導のみの場合、もしくは歩道幅員が狭い場所等では、歩道に対してパネルの表示面を 平行に設置します。 (3)商店街など目線の高さでは表示が見つけにくい箇所  商店街など、人通りが多く、看板や道路上の設置物も多くて目線の高さでは表示が見つけにくい場所などでは、 ポールに矢羽根型の誘導表示がついたサイン施設を設置します。矢羽根型標識の方向は、誘導すべき経路と同方向になるよう 設置できるため、実際の道路形状に即したわかりやすい誘導が可能です。  誘導表示を見る場合、表示板を見上げるかたちになりますが、目線の高さでの情報表示が必要な場合は、 ポールに補助板を設置することも可能です。その場合はポールから出っ張る部分の安全対策に十分配慮した施工を行う こととします。  なお、アーケードの中に誘導サインを設置する場合は、表示面の地色が暗いとサイン表示面全体が見つけにくくなる 場合があります。 その場合は、文字やピクトグラムの大きさを拡大するなど、表示内容を見やすくするための工夫が必要です。 また、商店等の建物に近接して設置する場合は、看板や照明等の位置により高さを調整することも必要になってきます。  視覚障害者や高齢者など、高い位置の表示が見えにくい人や、視線が低い人にとっては、路面標示による誘導案内も 有効な方法です。 路面標示の場合も矢羽根型標識と同じく、誘導の方向にあわせた表示が可能となります。  路面標示設置にあたっては、サイン表示が隠れるような障害物(植栽鉢や商品ケース、ベンチ等)を置かないことや、 立ち止まってサインを見る人が他の通行者の動線と接触しないような配置等、十分な配慮が必要です。 X.サインのメンテナンス  だれにとっても分かりやすく安全に移動できるためのまちづくりの道具としてサインが役立つためには、 既に設置されているサインの見直し点検作業を行い、継続的に手入れすることが必要です。 あわせて、永続的に地域内のサインがお互いの情報を補完しあい、利用者の移動円滑化を促すよう活用されるためには、 表示すべき内容やメンテナンスについて適切に管理できるよう統括した体制づくりが必要です。 (1)本体施設のメンテナンス 【本体メンテナンス】   ○清掃  年に2〜3回程度、本体の清掃を行う   ○保守・点検    本体の状況を以下のような項目によって点検し、適切な方法により対処する    ・ガタツキ(ボルトの締め付けの状況や、全体のゆがみ等のチェック)    ・破損状況(本体についた傷などの状態をチェック)    ・表面の状態(表面の錆や塗装部分の退色等をチェック)    保守および点検は清掃と同時に行う  既存の倉敷公共サイン本体の大部分は本石であり、年月を経るにつれ味わい深いものとなるよう意図されているため、 本石についてはメンテナンスフリーとして考えます。その他は耐久性の高いアルミニウム等を使用しています。 また、塗装も耐食性に優れ耐用年数が長い合成樹脂エマルションペイント塗りを採用するため、汚れやほこりは定期的に 水洗いと乾拭きを行えば十分です。目立つ汚れ、らくがき、いたずら等で美観が損なわれた場合は、以下の手順で清掃します。 1.通常清掃:水洗いと乾拭き (強くこすると傷つく場合があるので注意) 2.ひどい汚れの清掃:家庭用中性洗剤を薄めて使用、その後水洗いと乾拭き (泥・土等は事前に水洗いを行い除去しておく) 3.マジック等の落書きの清掃:ペイントうすめ液等で除去 (ペイントうすめ液使用前に、問題がないか目立たない場所で確認してから使用)  汚れやいたずらに対して、できるだけ即時に対応するために、市民や事業者、来訪者等からの連絡も重要なメンテナンス 情報となります。 サイン本体に管理番号、管理主体名、連絡先を記載することにより、定期点検時期以外のメンテナンスに対応することとします (2)掲載情報の見直し  地図情報は定期的に管理することとし、見直しは、原則単年度で行う短期メンテナンスと、約5年ごとのサイクルで行う 長期メンテナンスの2段階で行います。  データ管理は市役所内の特定の一部署において受け持つこととし、情報管理はすべてデジタルデータで行います。 ○管理台帳の作成  サインに掲載されている情報は、サイン管理台帳データによる維持管理を行います。  サイン管理台帳データはエクセル形式で作成し、情報更新担当部署が閲覧・修正できるよう、共有のオンラインシステム上に 設置します。 ○情報変更に対する対応  短期:新設の道路や施設など、新規の情報を貼り込み形式で表示します。  長期:全ての掲載情報を見直し、必要があればマップの全面貼り替えを行います。  サイン表示面に掲載されている施設等の情報の更新は、施設の名称及び位置の変更について修正するのはもちろんのこと、 倉敷市公共サインガイドラインの施設掲載基準を把握した上で、掲載基準から外れる、もしくは新たに掲載基準を満たす 施設についてもデータ修正を行うこととします。 (3)サイン管理体制  公共サイン施設の通常の本体メンテナンスに関しては、道路附属施設として倉敷市道路管理者が維持管理を行います。 また、美観地区内のサインについては、重要伝統的建造物群保存地区内であることから、地区内のその他施設と同じく 倉敷市観光部局が維持管理を担当します。  サインの役割として最も重要なのは、まちの現状に即した正確な誘導案内情報の提供です。そのため、 情報内容に関する総合的な視点からの見直しとメンテナンスについては、単独の担当部署ではなく、 関係各課及び関連機関等との連携による管理体制を構築し、対象地区内全体の情報見直しを行います。また、 倉敷市公共サインガイドラインや配置計画との整合性を点検する必要があるため、庁内の関係部署によるプロジェクトチームを 組織し、全サイン点検調査と現状と計画との整合性の検証を実施します。