研究課題:オーストリアの教育と日本の教育の比較
(音楽教育も含む)
私がこのテーマを選んだ理由は、1件目のホストファミリーの子どもの3人ともが生徒であったことと、2件目のホストファミリーの両親がどちらも先生をされていたことで日常的に教育の話題が多かったからです。このテーマで、教育制度が違うことによるライフスタイルの違いも見比べてみたいと思います。
まず、6歳から10歳までは大体全員が
フォルクスシューレ(Volksschule)という日本の小学校に相当する学校に行きますが、その後の選択は自由なのです。10歳のときに個人が一般的な教育を受ける
ギムナジウム(Gymnasium)と呼ばれる日本の中学・高校に相当する学校に行くか、職業訓練を主とした教育を受けることのできる
ハウプトシューレ(Hauptschule)に行くかを選択します。大学へ進学したい人の多くは、ギムナジウムへ進学し、下級クラス(14歳から18歳まで)を経て上級クラスへ行き、最後にマトゥーラと呼ばれる高校卒業資格試験を受けます。ハウプトシューレに進学すると、14歳の時にギムナジウムへ進学するか、もしくはさらに技術的な職業訓練のための学校へ進むかという選択があります。また、職人やマイスターと呼ばれる師匠(Meister)について、
レアリング(Lehrling)とよばれる見習い修行をするという選択もあります。
まず、ここで日本と違うところは、10歳という早い段階で自分の進路を選択する機会があることで、生徒が自分自身の進路についてより自主的に考えられるシステムだと思います。日本の高校は義務教育ではありませんが、半ば義務教育の延長線上にあるように感じるのは就職をしない限りみんな高校に行くからという傾向にあるからだと思います。
ギムナジウムの時間割は、
1時間目 7時40分-8時30分 (5分休み)
2時間目 8時35分-9時25分 (5分休み)
3時間目 9時30分-10時20分 (15分休み)
4時間目 10時35分-11時25分(5分休み)
5時間目 11時30分-12時20分
6時間目 12時20分-13時10分
昼休み(20分休み)
7時間目 13時30分-14時20分
8時間目 14時20分-15時10分
9時間目 15時10分-16時00分
10時間目16時00分-16時50分
まず、朝の授業の開始が早いので、学生のライフスタイル必然的に朝型になります。10時間目まで時間割が組まれていますが、実際には午前中のみの日や4限は休みで5限に授業のある日などがあり、空き時間の使い方は学生たちに任されています。私のホストファミリーの場合では、宿題をやったり、楽器の練習をしたりして自分のやらなければいけないこと、やりたいことを自分からやっていました。日本の学校では、生徒が先生や親にやらされていると感じることが多いのですが、こちらでは自分のために自分が勉強や練習をするという習慣が定着しているように思いました。
ウイーンに観光に行った時、マリア・テレジア(Maria Theresia 1717-1780)という人の像を見ました。この人はオーストリアの教育を革命的に変え、他国に先駆けて全土に均一の小学校を新設しました。全国で同内容の教科書を各地域のそれぞれの言語で教育を行ったことによって、国民の知的水準が急激に上昇したという歴史があります。
音楽教育に関しては、2つ気付いたことがあります。まず、楽器を始める年齢が日本と比べて早いと思いました。そして、年配の方も新たに習い始めた方や、昔習っていてレッスンを再開された方も含めて音楽を楽しんでおられました。音楽に親しみやすい環境にあるのと、学費がリーズナブルであるためだと思います。日本でのレッスンというと、上手い下手ばかりに注目されがちですが、楽しむことが1番にありました。