倉敷市空家等対策等の推進に関する条例

倉敷市空家等対策等の推進に関する条例

倉敷市空家等対策等の推進に関する条例をここに公布する。

   平成29年3月17日

                       倉敷市長 伊東 香織        

倉敷市条例第2号

倉敷市空家等対策等の推進に関する条例

 倉敷市空き家等の適正管理に関する条例(平成24年倉敷市条例第78号)の全部を改正する。

(目的)

第1条 この条例は,適切な管理が行われていない空家等及び空住戸等が防災,衛生,景観等の市民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み,市民の生命,身体又は財産を保護するとともに,その生活環境の保全を図り,あわせて空家等の活用を促進するため,空家等及び空住戸等の適正な管理について必要な事項を定めることにより,空家等及び空住戸等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって公共の福祉の増進及び地域の振興に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

() 空家等 本市の区域内に存する建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの(建築物が長屋又は共同住宅である場合にあっては,これらの住戸(長屋又は共同住宅が店舗,事務所等の非住宅部分を有する複合建築物の一部である場合にあっては,これら非住宅の各部分を含む。)の全てにおいて居住その他の使用がなされていないことが常態であるものに限る。)及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし,国又は地方公共団体が所有し,又は管理するものを除く。

() 特定空家等 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態,適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

() 空住戸等 本市の区域内に存する長屋若しくは共同住宅の住戸(長屋又は共同住宅が店舗,事務所等の非住宅部分を有する複合建築物の一部である場合にあっては,これら非住宅の各部分を含む。)又はこれらに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし,家等に該当するもの及び国又は地方公共団体が所有し,又は管理するものを除く。

() 特定空住戸等 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態,適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空住戸等をいう。

() 市民等 市内に居住し,通勤し,又は通学する者をいう。

(空家等又は空住戸等の所有者等の責務)

第3条 空家等又は空住戸等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は,周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう,空家等又は空住戸等の適切な管理に努めるものとする。

(市の責務)

第4条 市は,第6条に規定する空家等対策計画の作成及びこれに基づく空家等及び空住戸等に関する対策の実施その他の空家等及び空住戸等に関する必要な措置を適切に講ずるものとする。

(市民等の責務)

第5条 市民等は,空家等が特定空家等であると疑うに足りる事実があるとき,又は空住戸等が特定空住戸等であると疑うに足りる事実があるときは,速やかに市にその情報を提供するよう努めるものとする。

(空家等対策計画)

第6条 市は,空家等及び空住戸等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため,空家等及び空住戸等に関する対策についての計画(以下「空家等対策計画」という。)を定めるものとする。

(実態調査)

第7条 市長は,第3条に規定する適切な管理が行われていないと認めるとき,又は第5条の規定による情報提供があったときは,空家等又は空住戸等の所在及び当該空家等又は当該空住戸等の所有者等を把握するための調査その他空家等又は空住戸等に関しこの条例の施行のために必要な調査を行うものとする。

(立入調査)

第8条 市長は,第14条第1項,第15条第1項又は第16条第1項の規定の施行に必要な限度において,空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第9条第2項の規定により,当該職員又はその委任した者に,空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができる。

2 市長は,前項の規定により当該職員又はその委任した者を空家等と認められる場所に立ち入らせようとするときは,法第9条第3項の規定により,その5日前までに,当該空家等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし,当該所有者等に対し通知することが困難であるときは,この限りでない。

3 第1項の規定により空家等と認められる場所に立ち入ろうとする者は,法第9条第4項の規定により,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があったときは,これを提示しなければならない。

4 第1項の規定による立入調査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

5 前各項の規定は,空住戸等と認められる場所への立入調査について準用する。この場合において,第1項中「第14条第1項,第15条第1項又は第16条第1項」とあるのは「第14条第2項において準用する同条第1項の規定,第15条第3項において準用する同条第1項の規定又は第16条第10項において準用する同条第1項」と,「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第9条第2項の規定により,当該職員」とあるのは「当該職員」と,「空家等と」とあるのは「空住戸等と」と,第2項中「前項」とあるのは「第5項において準用する前項」と,「空家等」とあるのは「空住戸等」と,「法第9条第3項の規定により,その5日前」とあるのは「その5日前」と,第3項中「第1項」とあるのは「第5項において準用する第1項」と,「空家等」とあるのは「空住戸等」と,「法第9条第4項の規定により,その身分」とあるのは「その身分」と,前項中「第1項」とあるのは「次項において準用する第1項」と読み替えるものとする。

 (空家等又は空住戸等の所有者等に関する情報の利用等)

第9条 市長は,法第10条第1項の規定により,固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについて,法の施行のために必要な限度において,その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。

2 市長は,法第10条第3項の規定により法の施行のために必要があるときは,関係する地方公共団体の長その他の者に対して,空家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができる。

3 前2項の規定は,空住戸等の所有者等に関する情報の利用等について準用する。この場合において,前2項中「空家等」とあるのは「空住戸等」と,第1項中「市長は,法第10条第1項の規定により」とあるのは「市長は」と,「法の」とあるのは「この条例の」と,第2項中「法第10条第3項の規定により,法」とあるのは「この条例」と読み替えるものとする。

(空家等及び空住戸等に関するデータベースの整備等)

第10条 市は,空家等及び空住戸等(建築物を販売し,又は賃貸する事業を行う者が販売し,又は賃貸するために所有し,又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る。)を除く。以下第12条までにおいて同じ。) に関するデータベースの整備その他空家等及び空住戸等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるものとする。

(所有者等による空家等及び空住戸等の適切な管理の促進)

第11条 市は,所有者等による空家等及び空住戸等の適切な管理を促進するため,これらの者に対し,情報の提供,助言その他必要な援助又は指導を行うことができる。

(空家等及び空家等の跡地の活用等)

第12条 市は,法第13条の規定により空家等及び空家等の跡地(土地を販売し,又は賃貸する事業を行う者が販売し,又は賃貸するために所有し,又は管理するものを除く。)に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるものとする。

(特定空家等又は特定空住戸等に対する措置の判断)

第13条 市長は,特定空家等の所有者等に対し,次条第1項,第15条第1項,第16条第1項又は第17条第1項若しくは第2項の規定により特定空家等に関し必要な措置を講ずる場合においては,当該特定空家等が現にもたらしている,又はそのまま放置した場合において予見される周辺の建築物,通行人等に対する悪影響の有無,程度及び切迫性を勘案して総合的に判断するものとする。

2 前項の規定は,特定空住戸等に対する措置の判断について準用する。この場合において,同項中「特定空家等」とあるのは「特定空住戸等」と,「次条第1項,第15条第1項,第16条第1項又は第17条第1項若しくは第2項」とあるのは「次条第2項において準用する同条第1項の規定,第15条第3項において準用する同条第1項の規定,第16条第10項において準用する同条第1項の規定又は第17条第3項」と読み替えるものとする。

(特定空家等又は特定空住戸等の所有者等への助言又は指導)

第14条 市長は,法第14条第1項の規定により,特定空家等の所有者等に対し,当該特定空家等に関し,除却,修繕,立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については,建築物の除却を除く。次条第1項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。

2 前項の規定は,特定空住戸等の所有者等への助言又は指導について準用する。この場合において,同項中「市長は,法第14条第1項の規定により」とあるのは「市長は」と,「特定空家等」とあるのは「特定空住戸等」と,「次条第1項」とあるのは「次条第3項において準用する同条第1項の規定」と読み替えるものとする。

 (特定空家等又は特定空住戸等の所有者等への勧告)

第15条 市長は,前条第1項の規定による助言又は指導をした場合において,なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは,法第14条第2項の規定により,当該助言又は指導を受けた者に対し,相当の猶予期限を付けて,除却,修繕,立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。

2 市長は,前項の規定により勧告するときは,当該勧告に係る所有者等に意見を述べる機会を事前に与えなければならない。

3 前2項の規定は,特定空住戸等の所有者等への勧告について準用する。この場合において,第1項中「前条第1項」とあるのは「前条第2項において準用する同条第1項」と,「特定空家等」とあるのは「特定空住戸等」と,「法第14条第2項の規定により,当該助言」とあるのは「当該助言」と,前項中「前項」とあるのは「次項において準用する前項」と読み替えるものとする。

(特定空家等又は特定空住戸等の所有者等への命令)

第16条 市長は,前条第1項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において,特に必要があると認めるときは,その者に対し,法第14条第3項の規定により,相当の猶予期限を付けて,その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。

2 市長は,前項の措置を命じようとする場合においては,法第14条第4項の規定により,あらかじめ,その措置を命じようとする者に対し,その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して,その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

3 前項の通知書の交付を受けた者は,法第14条第5項の規定により,その交付を受けた日から5日以内に,市長に対し,意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。

4 市長は,前項の規定による意見の聴取の請求があった場合においては,法第14条第6項の規定により,第1項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて,公開による意見の聴取を行わなければならない。

5 市長は,前項の規定による意見の聴取を行う場合においては,法第14条第7項の規定により,第1項の規定によって命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を,期日の3日前までに,前項に規定する者に通知するとともに,これを公告しなければならない。

6 第4項に規定する者は,法第14条第8項の規定により,意見の聴取に際して,証人を出席させ,かつ,自己に有利な証拠を提出することができる。

7 市長は,第1項の規定による命令をした場合においては,法第14条第11項の規定により,標識の設置その他国土交通省令・総務省令で定める方法により,その旨を公示しなければならない。

8 前項の標識は,法第14条第12項の規定により,第1項の規定による命令に係る特定空家等に設置することができる。この場合においては,当該特定空家等の所有者等は,当該標識の設置を拒み,又は妨げてはならない。

9 第1項の規定による命令については,法第14条第13項の規定により,行政手続法(平成5年法律第88号)第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は,適用しない。

10 前各項の規定は,特定空住戸等の所有者等への命令について準用する。この場合において,第1項中「前条第1項」とあるのは「前条第3項において準用する同条第1項」と,「法第14条第3項の規定により,相当」とあるのは「相当」と,第2項中「前項」とあるのは「第10項において準用する前項」と,「法第14条第4項の規定により,あらかじめ」とあるのは「あらかじめ」と,第3項中「前項」とあるのは「第10項において準用する前項」と,「法第14条第5項の規定により,その交付」とあるのは「その交付」と,第4項中「前項」とあるのは「第10項において準用する前項」と,「法第14条第6項の規定により,第1項」とあるのは「第10項において準用する第1項」と,第5項中「前項」とあるのは「第10項において準用する前項」と,「法第14条第7項の規定により,第1項」とあるのは「第10項において準用する第1項」と,第6項中「第4項」とあるのは「第10項において準用する第4項」と,「法第14条第8項の規定により,意見」とあるのは「意見」と,第7項中「第1項」とあるのは「第10項において準用する第1項」と,「法第14条第11項の規定により,標識」とあるのは「標識」と,第8項中「前項」とあるのは「第10項において準用する前項」と,「法第14条第12項の規定により,第1項」とあるのは「第10項において準用する第1項」と,「特定空家等」とあるのは「特定空住戸等」と,前項中「第1項」とあるのは「次項において準用する第1項」と,「法第14条第13項の規定により,行政手続法(平成5年法律第88号)」とあるのは「倉敷市行政手続条例(平成9年倉敷市条例第45号)」と読み替えるものとする。

(特定空家等又は特定空住戸等に係る必要な措置の代執行等)

第17条 市長は,前条第1項の規定により必要な措置を命じた場合において,その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき,履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは,法第14条第9項の規定により,行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところに従い,自ら義務者のなすべき行為をし,又は第三者をしてこれをさせることができる。

2 前条第1項の規定により必要な措置を命じようとする場合において,過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第14条第1項の助言若しくは指導又は第15条第1項の勧告が行われるべき者を確知することができないため前条第1項に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は,市長は,法第14条第10項の規定により,その者の負担において,その措置を自ら行い,又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては,相当の期限を定めて,その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは,市長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。

3 市長は,前条第10項において準用する同条第1項の規定による命令を受けた者が,当該命令に従わない場合において,他の手段によってその履行を確保することが困難であり,かつ,その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは,行政代執行法の定めるところに従い,自ら義務者のなすべき行為をし,又は第三者をしてこれをさせることができる。

(審議会への諮問)

第18条 市長は,次に掲げる行為が必要と認めるときは,当該特定空家等又は当該特定空住戸等の状況,その周辺における生活環境への影響等を倉敷市空家等対策審議会条例(平成29年倉敷市条例第4号)第1条に規定する倉敷市空家等対策審議会(以下「審議会」という。)にあらかじめ報告し,その行為を行うことについて,意見を聴くことができる。

() 第15条第1項(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定による勧告

 () 第16条第1項(同条第10項において準用する場合を含む。)の規定による命令

() 第17条第1項又は第3項の規定による代執行

() 第17条第2項の規定による略式代執行

2 市長は,前項に規定するもののほか,空家等及び空住戸等の適正な管理に関し必要と認める事項について,審議会の意見を聴くことができる。

(緊急安全措置)

第19条 市長は,管理不適切な空家等又は空住戸等に倒壊,崩壊,崩落その他著しい危険が切迫し,これにより人の生命,身体又は財産に危害を及ぼし,又はそのおそれがあると認めるときは,その危害を予防し,又はその拡大を防ぐために必要な最小限度の措置を講ずることができる。

2 市長は,前項の措置を講じたときは,当該措置に要した費用を当該管理不適切な空家等又は空住戸等の所有者等から徴収することができる。

(警察署その他の関係機関との連携)

第20条 市長は,必要があると認めるときは,警察署その他の関係機関に管理不適切な空家等又は空住戸等に関する情報を提供し,管理不適切な状態を解消するために必要な協力を要請することができる。

(委任)

第21条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行について必要な事項は,市長が別に定める。

(過料)

第22条 第8条第5項において準用する同条第1項の規定による立入調査を拒み,妨げ,又は忌避した者は,5万円以下の過料に処する。

2 第16条第10項において準用する同条第1項の規定による市長の命令に違反した者は,5万円以下の過料に処する。

附則

この条例は,平成29年4月1日から施行する。