湧水湿地

湧水湿地

まもりたい倉敷の湧水湿地

 倉敷には、浅原~西坂地域や種松山山系などあちこちの地域に、湧水が鉱質の土壌を潤すことで維持されている湧水湿地(鉱質土壌湿原とも)が点在しており、そこには、トキソウやサギソウ、食虫植物であるモウセンゴケ類などの湿生植物や、日本のトンボ類では最も小型とされるハッチョウトンボなど湿地に特有の生き物たちの姿を見ることができます。倉敷を含む岡山県南部など瀬戸内沿岸の一部や愛知県などの東海丘陵地域には、特に湧水湿地が集中して分布しており、全国的に見ても特徴のある自然環境を形作っています。

 このような湧水湿地は、一つ一つは非常に小面積ですが、せまい範囲に多数の小湿地が集中して存在することで、これらの湿地を生き物が行き来し、ネットワークを形作ることにより、特有の生態系を維持してきました。

 しかし、これらの湧水湿地は、個別には小面積であるがゆえに保護・保全活動の対象とはされにくく、かつては道路建設や宅地開発、近年では太陽光発電施設の設置などによって、年々減少しつつあり、危機にさらされています。

 倉敷市では、「倉敷市生物多様性地域戦略」等に基づき、種松山野草園、倉敷美しい森の湿性植物園などの維持・保全活動の支援などを通じて市民に対して湧水湿地についての保全意識の啓発に努めるとともに、太陽光発電施設の建設等の開発行為において、事業者からの問い合わせがあれば、生物多様性への配慮を促すなど、湧水湿地の保護・保全に取り組んでいきます。

湿地の生き物

サギソウ

環境省レッドリスト2020「準絶滅危惧」 岡山県版レッドデータブック2020「絶滅危惧II類

写真:サギソウ

 岡山県では全域に分布するが、生育環境が低層湿地であるため、乾燥化や開発により簡単に消滅する。また、花が美しいことから、園芸採取による盗掘があとをたたない。

トウカイコモウセンゴケ

岡山県版レッドデータブック2020「準絶滅危惧」 

写真:トウカイコモウセンゴケ

 多年生の食虫植物で、葉の表面の長腺毛で小昆虫を粘りつけて捕らえる。6~8月にピンクの花をつける。沿岸部の南向きの斜面など、降霜がほとんど見られない湧水湿地にのみ生育が限られる。(岡山県版レッドデータブック2020より抜粋)

ハッチョウトンボ

岡山県版レッドデータブック2020「準絶滅危惧」

写真:ハッチョウトンボ

 日当たりのよい湿地に生息している。体長は2cmほどで日本一小さなトンボとして知られている。成熟した雄は鮮やかな赤色で、雌は茶褐色で黄色と黒の縞模様がある。湿地の開発や生息地の乾燥化などの影響により減少している。

ご注意

これらの生き物は、倉敷美しい森や種松山野草園で見ることができます。

生き物を観察するときは、生き物を持ち帰ったり、他所から生き物を持ち込んだりしないでください。