平成7年度(第3回)建築文化賞受賞建築物
一般建築物部門 |
”最優秀賞” 「児島聖約キリスト教会」 |

石垣に建つ長屋門の「お屋敷」の庭の片隅に、何時の頃からかキリシタン灯籠がひっそり
と立っている。
その「お屋敷」の表札が掛け変わり、それから四十有余年、邸宅のまま使用されていた
教会に、信者の献金による待望の礼拝堂が完成。
入母屋を斬新にデザインした大屋根の表情には、屋敷ばかりでなく近隣をも包み込む
ような安定感があり、三次曲線の四面が尖塔になった屋根は、未来に羽ばたく鳩のイメージ
を持つ。ここから何が発信されるであろうか。
全く新しい異質な建築物でありながら、自らを誇示するでもなく、周囲に馴染むことを
ひたすらに求める。設計思想は「祈り」。清雅な建物は精神の高揚の場にふさわしい。
燻銀の屋根の天窓からは賛美歌の音が流れ、”身体と心のバリアフリー”で、心傷つく
者も仕事着のままの人々をも迎え入れ、癒す。
建物と人とが、ひそやかに呼応し、息吹きし、なお時と共に児島の風土と融け合ってゆく。
所在地 :倉敷市児島味野5丁目4-21
建築主 :日本聖約キリスト教団
設計者 :(株)一粒社ヴォーリス建築事務所
施工者 :(株)藤木工務店倉敷支店
概要 :教会
RC造木造一部CB造・地上1階
敷地面積 2,789.90m2
建築面積 579.49m2
延べ面積 588.56m2
完成時期:平成6年12月