モンゴルレポートVol.2

スマートフォン用ツール
モンゴルレポートVol.2

モンゴルレポート タイトル

JICAシニア海外ボランティアとして、モンゴル農協の組織経営・運営を指導している西進(にし すすむ)さんのレポートをお届けします。第2弾はモンゴルの旧正月(ツアガーンサル)についてです。

モンゴルは、中国、ベトナム?などと同じで、2月の旧正月を盛大に祝います。各家庭では、その準備のために、大変です。まず、どの家庭でもボーズ(モンゴル風餃子=丸い)をとてもたくさん作ります。一軒で、約1500-2000個とか聞きます。ボーズは、羊か牛の肉を細かく切って、小麦粉で丸く包んで作ります。大きさは、大体ピンポン玉を一回り大きくした感じです。(サイズはいろいろあるようです。)中には、野菜を加えて作る家もあるようです。その準備のために、どこの家庭でも、1,2週間前から、肉を買い求めます。通常でもザハ(市場)や、スーパーなどでは、肉売り場はとても広いですが、この時期には、羊の姿肉?が登場します。もちろん、内臓はありません。頭、皮もありません。手足はあります。頭と手足がない凍った羊の姿肉?(万歳をした格好)が、肉屋さんの店頭や、後ろや、ところによっては、お店の入口に5体6体(単位が「体」でいいのか知りませんが)並んでいました。ボーズを作るのは、疲れるそうです。知り合いの男性は、「子どものころは、(旧)正月が来るのが楽しみだったが、大人になると準備が大変なので、子どものころのように楽しくはない。」と言っていました。確かにそうでしょ、一日中、ボーズ作り、かなり単調だと思います。さらには、羊か、牛の背骨の付いた大きな「肉の山」?も、必要です。応接間にお菓子と並んで、真ん中にデーンと鎮座しています。お菓子の山は、巨大な細長いドーナツ(穴はないですが)?をうまく組み合わせて山にした感じです。

テーブルに並んだご馳走
テーブルに並んだご馳走
お菓子の山と肉の固まり
お菓子の山と肉の固まり

旧正月が始まると、親戚などたくさんあるご家庭は、おじいちゃん(おばあちゃん)の家→おじさんの家→おばさんの家→お兄さんの家→お姉さんの家などを順番に回ります。ですので、一番お年寄りのご家庭では、来客者がともかく半端な数ではありません。私が招かれてお伺いしたご家庭は、87歳のおばあちゃんの家(おじいちゃんは亡くなられた)。その子どもが10人。子どもと言っても、もう50歳台から60歳台?の結構な、お父さん方、お母さん方でした。またその子ども(孫)。子どもから大人まで、ほとんどの人が、デール(モンゴルの盛装)を着てきます。孫、ひ孫を数えると、130人くらいおられるそうです。実際に私がお伺いした時来られた人も、小さな子どもも入れて、50-60人くらいおられたでしょうか。おばあちゃんが、部屋の、右側の一番奥に座っています。年の順に部屋の両サイドに並んで座っています。そして順番に挨拶をしていきます。まずは一番奥に座っている、おばあちゃんのところへ、それから順にモンゴル式であいさつ=ハグ?をします。「アマルバイノー?=ご機嫌いかがですか?」といいながら。その時、新品のお札(そんなに高額ではなく)をあげるものだそうで、みなさん、あげていました。それから、「嗅ぎ煙草」の交換をします。何やらきれいな細長い布の袋に入った小瓶をとりだして、右の手のひらで交換し合います。そして、鼻で嗅ぎます。しばらくして、例のボーズが登場します。なるほど、この時のためか、とわかりました。さらには、酒が嫌いな人には恐怖、好きな人にはお楽しみの、アルヒ(モンゴル版ウオッカ。アルコール度40度前後)が、ふるまわれます。日本のおちょこと同じくらいのサイズの器に注がれます。本当は、一気に飲み干すのが礼儀だそうですが、無理強いはありませんでした。ちょっと飲むだけの人もいましたので、ホッとしました。こういう儀式を、1軒の家庭で、1時間から1時間半くらいかかります、歓談などもしますので。そこのご家庭での挨拶などが終わると今度は、次の年長者の家庭を訪問します。そこで、同じ流れで儀式が行われます。

右奥が主賓のおばあちゃん
右奥が主賓のおばあちゃん
人が多くて入りきらない
人が多くて入りきらない
ひ孫もたくさん
ひ孫もたくさん
おばあちゃんに挨拶、新札を上げている
おばあちゃんに挨拶、新札を上げている
アルヒ(モンゴルウオッカ)で乾杯
アルヒで乾杯

私が訪問した2軒目のご家庭は、おばあちゃんの長男のご家庭でした。おばあちゃんの家から、車で(とにかくぎゅうぎゅうに押し込まれて。日本でしたらとっくに定員オーバーで交通違反、というところですが、モンゴルでは乗車定員は、ないのでしょう)20分くらい走った、モンゴル式の例のゲルのご家庭。家は羊の皮で覆われていて、中で暖房を焚いていますのでとても暖かでした。結構広い感じでした。中に入ってみると、先ほどと同じメンバーもかなりおられました。ここでもやはり同じ儀式。先ほどのおばあちゃんの長男さん(といってもかなりのお年と見受けられました)が座っている奥から順番に座っています。その人に、入れ替わり立ち代わり来客が訪れて、あいさつ(ハグ?)を交わします。「アマルバイノー=お元気ですか?」とお互いに言いながら。ここでもすごい人数。こうやって、家族兄弟の多い人は、一日に5軒,6軒と回るそうです。一日では終わらなく、翌日とか挨拶に回る場合もあるそうです。私は、3家庭まで案内させていただきました。

後ろがゲル(モンゴル式の家)
後ろがゲル(モンゴル式の家)
ゲルでの儀式。めがねの人がおばあちゃんの長男。この家のご主人。
ゲルでの儀式。
めがねの人がおばあちゃんの長男。この家のご主人。
大勢の子ども、孫が挨拶の順番を待っている
大勢の子ども、孫が挨拶の順番を待っている



ツアガーンサルの挨拶のハグは、向かい合って、年下の人が年上の人の腕を下からそれぞれ支える感じで組みます。年上の人は、その相手の人の腕を上からくみます。そして、右ほほ、左ほほをあわせながら、「アマルバイノー=ご機嫌いかがですか?」といいます。もちろん若い女性ともします。(残念ながら、ハグは正月だけだそうです。)

挨拶のハグ1
挨拶のハグ
挨拶のハグ2
挨拶のハグ

ツアガーンサルは、会社・学校・お店も全部基本的にはお休みです。ですので、何か食品が足りなくなって買いに行っても、どこもお店はほぼ完全に閉まっています。私の場合は事前にそういう連絡がありましたので、心つもりがありましたので大丈夫でしたが。日本ですと、スーパーや一部の専門店などは元旦や二日から売り出しがありますが、モンゴルでは、それはないようです。通常はツアガーンサルの休みは3日間ですが、今年はカレンダーの関係で4日間でした。

さて、休み明けの事務所でも、また挨拶。ほとんどの人がデール(モンゴルの盛装)を着てきます。ある一つの部屋に、お菓子の山が積まれていて(さすがに肉の山はなし。ボーズもなし。ボーズは、食べるときに蒸すか、鍋で煮る必要があるため。事務所にはその設備がないので。)、年配者から奥に順に座っていきます。そして、一番の年配者に順番に挨拶(ハグ)をします。「アマルバイノー=ご機嫌いかがですか?」。アルヒもしっかり振る舞われます、さすがにモンゴルです。この挨拶がおわると、今度は、事務所の近くに住んでおられる、前の役員のお宅を皆で訪問しました。ここでもおなじことが繰り返されます。挨拶、嗅ぎ煙草。こちらはご家庭なので、ボーズや、サラダなども振る舞われました。もちろんアルヒも。こういうことで、ツアガーンサル(旧正月)明けの1日は、ほとんど仕事らしい仕事はありませんでした。



立春をすぎ、モンゴルでも日がかなり長くなりました。12月、1月は、午後5時ごろには暗くなりかけていましたが、今(2月8日)は、日没は5時半から6時ごろです。日差しもすっかり明るくなったというか、強くなりました。それでも外気温は、最高がマイナス10度、最低はマイナス20度くらい。マイナス10度でも、「暖かくなりましたね。」という挨拶が、違和感がないから不思議です。

(2011年2月8日 記)

<国際課より>
国際課では西さんへの励ましのことばや質問をお待ちしております。メッセージは国際課がお預かりし、西さんへ届けます。
倉敷市はモンゴルで奮闘中の西さんを応援しています。