コスタリカ通信Vol.24

スマートフォン用ツール
コスタリカ通信Vol.24

コスタリカ通信 タイトル



JICAシニア海外ボランティアとして、コスタリカで代替エネルギーや省エネ技術の指導をしている佐伯元(さえき はじむ)さんのレポートをお届けします。第24弾は、JICA事務所での帰国報告会とモンテベルデ旅行についてお伝えするとともに、コスタリカの「ええ加減さ」を一考します。(2013年2月18日掲載)

2013年2月17日

佐伯元です。

帰国まで約1ヶ月になりました。最近は帰国報告会や帰国の手続きの説明等が始まり、気忙しくなりました。

1月下旬に妻が6ヶ月ぶりに来ました。3月までコスタリカに滞在して、一緒に日本に帰る計画です。私は仕事のやり残しがないよう、妻は旅行のやり残しがないよう注意して、最後の期間を過ごすつもりです。



1.JICAボランティアの帰国報告会
帰国報告会
帰国報告会

2月に私達の帰国報告会がありました。これは任期を終えて日本に帰国する前にJICA事務所のメンバー(所長以下)に仕事の報告をするとともに、今後活動を続ける後輩隊員達にアドバイスを送るという意味もあるのだと思っています。

私は「気候変動の問題を一生の課題と考え、環境NPOで活動を始めた事」「石油や原子力に依存しないで豊かな生活のできる社会を子孫に残すために活動していること」「コスタリカでの再生可能エネルギーの仕事はその活動の一環であること」等を話しました。報告の後、2~3人の若者が「私の活動の中で気候変動の為に自分にできることに取り組みたい」と言ってくれたのは嬉しかったです。

現時点で、コスタリカでやるべき仕事はほぼやり終えたこと(UTNがこれをどう生かすかという課題はありますが)、ここで経験したことを日本の活動にも生かせる見通しを持てていることはとても幸せなことだと思います。

送別会
送別会

妻はオブザーバーとして参加して私の報告を聞き、夜の私達の送別会にも出席しました。彼女は何人かのボランティアとも話をし、私以外のボランティアの人達の活動や考え方の一端を知る事ができて良かったと思います。

JICAコスタリカでの報告は終わりましたが、私にとって本当に報告しなければいけないのは、税金で私をコスタリカに派遣して下さった日本国民の皆さんだと思います。帰国後、JICA、岡山県、倉敷市及び家族や友人にはキチンと報告をするつもりです。また気候変動・再生可能エネルギー関連で何らかの貢献をして、国民の皆さんには報いたいと考えています。

2.モンテベルデ旅行

1月末にモンテベルデに2泊3日で旅行しました。モンテベルデは妻が日本にいる時から是非行きたいと計画していたところで、コスタリカのエコ・ツーリズムの代表的な自然保護区です。20世紀に兵役を拒否したUSAのクェーカー教徒が移住して、自然を開発から守ったという歴史があります。特に外国人に人気があり、鬱蒼とした熱帯雲霧林がその象徴です。私達は、モンテベルデの動植物探索ツアー、吊り橋やロープウェイから森を眺めるツアー、秋篠宮夫妻が訪れたという蝶園見学、夜に眠っている動物を見るツアー等で十分モンテベルデの自然を満喫しました。

モンテベルデに行くには未舗装の山道を1時間近く通る必要があります。来訪者が増えると自然破壊に繋がるため、敢えて舗装していないということだそうです。また入園者数も制限し、ガイドがついて自然破壊に繋がらないよう注意しています。入園者は我々みたいな外国人ばかりのようでした。遠くドイツ、イスラエル等から来た人とも一緒になりました。コスタリカ人はあまりここには出かけないそうです。

私は「雲霧林」というのは、常に霧がかかったり雨が降っているのかと思いましたが、私達のいる間晴れ間もあり、霧がかかったり霧雨が降ったりと、目まぐるしく天候が変化しました。吊り橋ツアーは、密林の中を散歩して珍しい動植物にも出会ったり、橋の上から雲霧林を眺めたりする貴重な体験ができました。夜の森を散歩し眠っている動物を見るのは面白い体験でしたが、眠っているのに人が押しかけてライトで照らしたりするのは、動物が迷惑しているのではないかと考えてしまいました。

 

熱帯雲霧林の吊橋ツアー
熱帯雲霧林の吊橋ツアー
熱帯雲霧林の樹木
熱帯雲霧林の樹木

  

3.コスタリカは「ええ加減」な国か?

ものごとをキチンとしないことを関西弁で「ええ加減」といいますが、私はコスタリカに来た当初、この国はええ加減な国だと感じました。国としては開発途上国から脱することができず、国民は時間を守らないし(例:セミナーもいつ始まるか分からない)、住所には番地がないし(例:〇〇教会の西300mの大きな樫の木がある赤い屋根の家)、市内バスの時刻表やルート図がなく停留所の表示もない等で、先輩が「コスタリカはいい加減な国だから、発展もしないんだ」と言うのを聞いて、そうだなと思っていました。

しかし、2年近く生活してみて、今は「ちょっと違うかな」と感じています。アリアス前大統領のスタッフをしていた人が、「コスタリカのような小国には、何ごともほどほど(程程)がいいのです」と言うのを聞いて、この国は自分達の国のこと(世界における立場、国民性、経済力等)を考慮して、「ほどほどの成長を目指すのが、コスタリカ(人)にとってベスト」と判断しているのではないかと思っています。

おおらかに構え細かいことに拘らない性格、もめごとがあっても武力衝突を避け対話での解決を目指す風土、経済成長もカーボン・ニュートラルの範囲内で等の方針を見ていると、「無理な成長を目指すと歪みがでる。ほどほどで行けば、問題も起こらず国民も幸せになれる」と言っているような気がします。コスタリカは「カーボン・ニュートラル」とか「非武装中立」等、国の方針として大切だと考えることを世界に先駆けて宣言・実践しています。私はええ加減な国に見えて、実はほどほどの国=良い加減な国なのではないかと思うようになりました。私のこの感じ方が正しいかどうかは別として、国連の「幸せ度調査」でコスタリカは一人当たりGDPは低いにも関わらず、毎回10位前後に名を連ねていますから、コスタリカ人は「これ位がちょうどええんや」と考えているのではないでしょうか?

『かなりコスタリカ・ファンになってしもうたかな?』 

4.コスタリカに来た妻のつぶやき
  • コスタリカは暖ったこうて、ほんまに天国やわ。これで日本からもっと近うてスペイン語使わんでよかったら言う事ないんやけどな。
  • モンテベルデに来てケツァールがまた見れたし、熱帯雲霧林の雰囲気は十分味わえたし、ほんまに来て良かったわ。
  • JICAのボランティアはみんなすごいね。特に若い女の子は日本では考えられんような厳しい環境の中で、地元の人の中に溶け込んで自分で仕事を切り開いて行くんやからほんまにたくましいわ。


<国際課より>
国際課では佐伯さんへの励ましのことばや質問をお待ちしております。メッセージは国際課がお預かりし、佐伯さんへ届けます。
倉敷市はコスタリカで奮闘中の佐伯さんを応援しています。