コスタリカ通信Vol.25

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コスタリカ通信Vol.25

コスタリカ通信 タイトル



JICAシニア海外ボランティアとして、コスタリカで代替エネルギーや省エネ技術の指導をしている佐伯元(さえき はじむ)さんのレポートをお届けします。最終回となる第25弾は、UTNでの最後の仕事、卒業旅行、コスタリカの教会について報告します。(2013年3月18日掲載)

2013年3月17日

佐伯元です。

コスタリカ通信もいよいよ最終回となりました。19日にコスタリカを出発し、21日に東京に着きます。JICAの帰国研修を終え、倉敷には22日に帰る予定です。2年間の仕事を無事に終えて日本に帰れることを、心より神様に感謝したいと思っています。

1.UTNでの最後の仕事
UTN送別会
UTN送別会

(1)仕事納め
去年やり残した「キャンパス訪問」を今年実施するよう相棒が調整しましたが、結局実施できませんでした。また今年は太陽光パネルのモデルの予算が承認されましたが、予算執行に手間取ったため私は殆ど制作に関与できませんでした。結局、最後の週まで技術報告書を作成することになり、最終の仕事は日本の大学における再生可能エネルギーの授業プログラムの紹介でした。最後まで、「こうしよう」と決めたことをその通り実行できませんでしたが、これもコスタリカらしかったと思いますし、その中で自分の最善は尽くしたつもりです。

(2)UTN報告会
帰国4日前の15日に私のUTN最終報告会がありました。UTNの学長や教授、JICA職員に2年間の活動結果を報告する、最後のスペイン語での発表です。妻もオブザーバーとして参加し、私の発表を聞きました。私は、自分のやった仕事を今後UTNでどうフォローして欲しいか、私がUTNの経験を日本でどう生かすか、仕事以外にコスタリカで何を経験したか等を説明しました。最後にUTNでの仕事やコスタリカでの生活には満足していることを述べましたが、これは私の本心です。苦労はありましたが、UTNの要求に応える仕事ができたこと、仕事以外にもコスタリカやコスタリカ人から多くのことを学べたことは、私の人生に大きなインパクトを与えたと感じています。

(3)UTN送別会
最終報告会の後、学長が私の送別会を開催してくれ、妻も招待されました。ごちそうを食べて感謝の言葉を聞き悪い気持ちはしませんでしたが、嬉しかったのは、学長が立派な記念品をくれたことと、私のUTNへの提言を受け止めてくれたことです。学長は「提言を実現するには時間が必要」と言っていますが、私はUTNの将来に期待を繋いでいます。


2.私達の卒業旅行
コーヒー農園ツアー
コーヒー農園ツアー

(1)コーヒー農園ツアー
2月下旬にコスタリカで一番有名なブリット社のコーヒー農園半日ツアーに参加しました。今回はコスタリカ人を初め、スペイン語圏(中南米やスペイン)の人が多かったです。コーヒーの木の育て方から、選別、乾燥、焙煎等の工程を見学しました。良い味を保つため、また環境を守るため、種々の工夫がされていることを知りました。私達は2人ともコーヒー党ではありませんが、この日はできたてのコーヒーを十分味わいました。コスタリカのコーヒーは中南米では有名ですが、生産量が少ないため日本に輸出される量は僅かだそうです。

熱帯雲霧林ツアー
熱帯雲霧林ツアー

(2)コルコバード・ツアー
3月にコルコバードに3泊4日で旅行しました。コルコバードはコスタリカ最後の秘境と云われ、他の場所では見られない珍しい動植物が見られる国立公園です。アラフエラにある空港から、国内線の飛行機・自動車・ボートを乗り継ぎ5時間かけて原生林(ここは熱帯雲霧林と呼ばれている)に囲まれたホテルに着きました。

ジャングル・ロッジ
ジャングル・ロッジ

ホテルは半島にありますが、ここから数kmの島で映画「ジュラシック・パーク」が撮影されたそうです。ホテルは「ジャングル・ロッジ」の愛称で呼ばれ、ロッジの周りはジャングルです。経営者の方針が「持続可能性の追及」ということで、いろいろな環境保護の試み(ホテルへの道路はなくアクセスはボートのみに限定/発電は小規模水力及び太陽光(再生可能エネルギー)/独自のアルミニウム・ガラスの再生工場/部屋にエアコンはなく天井の通風孔と扇風機等)をしていますが、これらは私の信条と一致したので嬉しくなりました。気温が35℃になっても、窓をあけて扇風機をかけると涼しいのが不思議でした。

ガイド付きのツアーは今までの公園と大きくは違いませんが、ここはより手つかずの自然が残っている感じがしました。最後の日は2人だけでジャングルの散歩道を歩きましたが、ガイドなしでもモルフォ蝶、コンゴウインコ、その他珍しい動物を見つけることができました。本で学んだだけの一次林、二次林の見分け方も体験できました。

カルデラ湖
カルデラ湖

(3)ポアス火山再挑戦
昨年末に日本語の生徒とポアス火山に行きましたが、熱帯雨林特有の霧雨のため火口や熱帯林がよく見えず残念な思いをしました。3月16日に妻とコスタリカ最後の日帰り旅行でポアス火山に再挑戦しました。今回は国立公園内も運よく晴れて、めったに見られないと云われる火口やカルデラ湖もきれいに見えて満足しました。「熱帯雨林やから雨でもしゃあないわ」と思っていましたが、やはりきれいに晴れて良かったです。私達はコスタリカ最後の旅行が幸運に恵まれ、思い残すことがなく帰国できそうです。

3.コスタリカの教会

コスタリカは、法律でキリスト教のカトリックが国教に指定されています。したがって公立の学校ではカトリックの教えに従って宗教教育もされているそうです。もっとも、カトリック以外の宗教(プロテスタントのキリスト教やイスラム教等)に基づく教育をする私立の学校もあります。コスタリカについていろんな情報があり、カトリック信者の数が70%~90%とばらついているので、実際はよく解りませんがカトリックの国と云うことは間違いありません。私が10回以上行った教会は2つ(プロテスタント、カトリック各1)だけですが、いろいろな教会に行きいろいろな人に聞いたことをもとにコスタリカの教会について報告します。

(1)牧師(神父)の説教に応答がある
日本で私の行っていた教会では、牧師が「皆さん、どう思われますか?」と聞いても誰も応答しませんが、こちらの教会では、カトリックの大聖堂を除き牧師(神父)が説教中に来会者に語りかけ、これに何人も声をあげ、牧師(神父)がこれに応答しながら説教を進めて行きます。

(2)音楽が砕けた感じが多い
カトリックの大聖堂を除いて、伴奏はオルガンが使われません。コスタリカの教会では金がないので、パイプオルガンは殆ど使われないと聞きました。ギター等が主流になって、讃美歌も若者向けの砕けた感じのものが多く、中には手を叩きながら、また踊りながら歌う人もいます。

(3)聖書を持ってこない
殆どの人が聖書を持って来ません。説教等もこれを前提にしているようです。教会では「聖書は聴くもの」ということのようで、聖書は家で読むようです。

(4)子どもも礼拝に参加している
小さな子どもも含めて家族で出席している人が多いですが、小さい頃からの習慣になっているようで、子どももあまり騒がないで礼拝に溶け込んでいる感じがします。泣く子はいますが騒ぐ子が殆どいないので、大人も叱る必要がありません。

私の家の近所にはカトリックよりプロテスタントの教会が多いので、アラフエラ全体でもとてもカトリック信者が7割も9割もいるように思えませんでしたが、カトリックの教会に行ってみて、その秘密?が解りました。プロスタントの教会の収容人数は100人~200人位で礼拝も週1回が殆どですが、カトリックは入れ物が大きく(大聖堂は約900人、アゴニーアと呼ばれる教会は約600人)、しかも両教会とも日曜は5回も礼拝を行なっています。大聖堂の場合は、日曜日以外にも毎日朝夕に礼拝があります。ときどき覗いて見ると、満席ではありませんが半分以上は埋まっています(500人以上)。何回も礼拝に来る人がいるのでしょうが、さすがカトリックの国だと思いました。

4.日本に向かう妻のつぶやき
  • コスタリカにいたんは2年間で半年あまりやったけど、旅行もできたしいろんな経験できて、ほんまに良かったわ。日本帰ったら「コスタリカぼけ」言われんように気いつけなあかんね。
  • 苦労してコルコバードに来た甲斐あったわ。思い切り自然の良さが味わえたし、自分達でモルフォ蝶やトゥカンが自由に飛び回るのん見つけられて嬉しかったわ。
  • コーヒー農園のツアーはコーヒーの作り方が分かったし、コーヒーの木が他の木に守られてる言うのん初めて知ったわ。白い花は見れたけど、楽しみにしてた赤い実が見れんで残念やわ。
  • 夫の最終報告会(JICA及びUTN)に出席して、2年間の活動の発表が聞けてほんとに良かったわ。こんなんめったにない機会やし、内容もよう分かったし。2年間ご苦労さんでした。元気に仕事を終えて、安心したわ。





コスタリカ通信のご愛読ありがとうございました。

私は4月から日本での生活を再開します。これからの生活に、コスタリカで経験したことをいろいろな形で生かしていきたいと願っています。今後ともよろしくお願いします。




<国際課より>
これまでコスタリカ通信を購読いただき,ありがとうございました。
佐伯さんのレポートを通して,コスタリカの人々や文化,生活などを知り,この国のことを身近に感じられるようになりました。また,JICA海外ボランティアの活動や暮らしについても垣間見ることができました。
倉敷市は2年間にわたりコスタリカを伝えていただいた佐伯さんに感謝申し上げるとともに,今後の佐伯さんのご活躍を応援しています。