文書全体
翻刻
請願書
倉敷町ニ市制施行ノ儀ニ付請願仕候
伯備南線ノ敷設ト大原氏ノ事業トニ拠リ全国的ニ其ノ存在ヲ認メ
ラレントシツヽアル我カ倉敷町ハ曩キニ三ヶ町村ノ合併ヲ断行シ
時勢ノ進展ニ副ハントスルノ時市制施行ニ対シ一分ノ漸進論者ア
リト雖モ抑モ三ヶ町村ノ合併ハ地方発展ニ立脚シテ市制施行ハ
其ノ第一要素タレバナリ
而シテ伯備線ハ近ク全線ノ開通ヲ見ントシ其ノ北端ナル米子ハ既
ニ市制ヲ施行セリ其ノ南端ナル我カ倉敷町ナルモノ之カ対策上啻
ニ晏如タルヲ得サルモノアリ
市制施行ノ好期ハ今将ニ此ノ時ニアラスヤ我等ハ此ノ機会ニ於テ
倉敷市ナル印象ヲ永久ニ社会ニ扶植セントスルモノナリ若シ夫レ
名ヲ内容ノ充実ニ藉リテ因循数年ヲ経過センカ為メニ蒙ムル有形
無形ノ損失ハ豈僅少ノ努力ニ依リテ回復シ得サルコトヲ信ス
時恰モ 今上陛下ノ御大典ヲ迎奉ラントスルノ好個ノ機会ニ拝
遇ス斯ノ如キ好機復タ来ラス我等ハ何ノ躊躇ヲモ要スルナク来ル
昭和三年四月一日ヲ以テ永遠ニ紀念シ奉ラントス又伯備線ノ全通
ニ策応シ而して合併ノ意義ヲ明瞭ニシ地方発展ニ資スル所以ニシ
テ又以テ我等ノ福利ヲ増進スルモノアリト信ス
右ノ理由ニ依リ我等ノ願意御採納ノ上市制施行ノ儀御尽砕被成下度
連署ヲ以テ請願仕候条直ニ町会へ議題トシテ御提出相成度候
恐惶謹言
昭和二年十二月二十六日
倉敷町民
倉敷町会議長林源一殿
請願者
難波多作
外千百四十三人