(事例)
6年間入居していた賃貸アパートから退去した。壁紙やふすまの張り替え、壁の破損部分の修理など、敷金を越える高額な請求があった。壁の破損については仕方ないが、壁紙やふすまはきれいに使っていたので替える必要はないと思うが、支払わなければならないか。
(アドバイス)
敷金とは、家賃の滞納や不注意による破損などの損害金をあらかじめ貸し主に預けておくものです。退去時に生じる原状回復義務は、入居時と全く同じ状態に戻すことではなく、借り主の不注意や通常の使用を超える使い方が原因で発生した損耗や傷などを修復することであり、経年変化や通常損耗による修繕費は家賃に含まれているとされています。事例のような場合は、貸し主に修繕の明細書をもらい、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考に話し合いましょう。話し合いでの解決が難しい場合は、少額訴訟制度を利用することができます。
賃貸住宅退去時のトラブルを未然に防ぐために、次のことに注意しましょう。
(1)契約書に記載されている退去の予告期限までに貸し主に連絡する
(2)入居中はマナーを守り、丁寧に使用する
(3)入退去時は立ち会って部屋の状況を確認し、写真に残す
(4)修繕の明細書をもらい、入退去時の状況と合っているか確認する