倉敷市立美術館は、昭和58年の開館以来、市民に身近な美術館として地域に寄り添い、郷土にゆかりの深い作家たちの作品を中心にすぐれた美術作品が展望できるコレクションづくりをめざして収集活動を行ってまいりました。現在、本館の収蔵作品は、母体となっている池田遙邨の日本画や素描など約8千点の作品を含め1万点以上となっています。
さて、昨年度、新たに収集した作品は、本館のコレクションに初めて仲間入りすることとなった日本画家の岡本克彦(すけひこ)、陶芸家の沖塩明樹(はるき)ら27件にのぼります。
倉敷市水江出身の岡本豊彦が描いた「蘭亭曲水図(らんていきょくすいず)」は、4世紀の中国で多くの文化人たちが集まり、曲水に杯を流して、その杯が自分の前を通り過ぎる前に詩を詠み、酒を酌み交わした宴の場面を描いたもの。画面中央、蘭亭で筆を執るのは書聖と称された王羲之(おうぎし)です。
瀬戸内海に面した倉敷市児島に生まれた岡野耕三にとって蛸や鮟鱇(あんこう)は馴染み深い題材です。抽象的に描かれたこれらの作品は、岡野が東京芸術大学在学中の23歳のときのものです。
そのほかの新収蔵作品では、玉島ゆかりの柚木玉邨、久太、祥吉郎3代の絵画や児島出身の斎藤真一など郷土ゆかりの作家たちの多彩な作品をお披露目します。
新しい令和の時代を迎えて、倉敷市立美術館は、今後さらなる発展をめざして、質量ともに充実したコレクションづくりをめざしてまいります。皆様のご来館をお待ちしています。
※会期中、展示替えがあります。
●担当学芸員によるギャラリートーク
終了しました。
日時:11月30日(土)、2月2日(日) 14時~(40分間程度)
場所:美術館2階 第2展示室
※当日の観覧券が必要です