第T編 倉敷市交通バリアフリー全体構想 1−1.上位計画・関連計画における位置づけ (1) 倉敷市第五次総合計画後期基本計画  本市は、子どもから高齢者までが元気に暮らすまち「ひと、輝くまち 倉敷。」の実現を目指して、「国際文化都市」「拠点都市」「福祉文化都市」の3つの都市像を掲げた、“まちづくり”を推進しており、そのための指針となる倉敷市第五次総合計画後期計画は、平成22年を目標年次に、「市民と創る こころゆたかな 倉敷の未来」をまちづくりの基本理念として、以下の4つの基本目標を掲げています。  @ 未来を拓く人と文化の育成  A 健やかで心安らぐ暮らしの実現  B 安全で快適なまちづくりの推進  C 瀬戸内に輝く交流拠点都市の形成  この基本目標に基づく施策の中では、交通バリアフリーの推進に関連するものとして“ともに支えあう社会福祉の充実”や“安全なまちづくり”、“快適なまちづくり”、“広域的な交通・情報ネットワーク*5の整備”などが位置づけられています。特に“広域的な交通・情報ネットワークの整備”においては、公共交通関連施設のユニバーサルデザイン、シームレス*6化の整備促進を位置づけています。関連施策は以下の通りです。   倉敷市第五次総合計画後期基本計画施策の体系(抜粋)     目  標  健やかで心安らぐ暮らしの実現   施策の体系 ともに支えあう社会福祉の充実         ・施設や設備のバリアフリー化を推進         ・ユニバーサルデザインのまちづくりを推進   目  標  安全で快適なまちづくりの推進   施策の体系 安全なまちづくり         ・安全で快適な通行や歩行環境を確保         適なまちづくり         ・快適な生活道路環境を整備   目  標  瀬戸内に輝く交流拠点都市の形成   施策の体系 魅力ある都市形成と地域の個性を活かしたまちづくり         ・倉敷駅周辺の都市機能を向上         ・各地域の機能的で魅力的な交流拠点づくりを推進         広域的な交通・情報ネットワークの整備         ・幹線道路網を整備         ・身近な公共交通サービスを充実         ・広域的な公共交通網の整備を促進         ・公共交通関連施設のユニバーサルデザインを促進         観光・コンベンションの振興         ・観光客へのおもてなしを向上         ・国際化への対応を推進         ・観光を支える施設基盤を整備 (2) 倉敷市福祉のまちづくり条例  本条例は、平成9年倉敷市条例第24号で制定され、子どもからお年寄りまで、すべての市民が一人の人間として尊重され、住み慣れた家庭や地域で生きがいを持ちながら、安心して生活できる社会の実現が求められています。そこで、市民一人ひとりが自立して積極的に社会とかかわりあうことができるよう、高齢者や障害者などを取り巻く様々な障壁を取り除き、多様な人々が互助と連帯の精神を持って交流しあえる社会環境を整備するため、“福祉のまちづくりを推進するための基本的事項”と“都市環境の整備”を掲げ、本市、市民及び事業者が、それぞれの責務を果たしながら協力し合い、思いやりの心がふれあう人にやさしい福祉のまちづくりへの取り組みが位置づけられています。   (3) くらしき障害者福祉プラン  本プランは、障害者基本法第7条の2第3項に定める「当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画」として策定され、平成25年度を目標年次とする障害者施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画を定めています。  また、障害のある人がライフステージ*7のすべての段階において、その能力を最大限に発揮しながら、自らの意思により選択し、行動し、自立する生活の創造を目指すとともに、あらゆる社会経済活動へ参加することのできる社会を構築することを目標としています。  生活環境における施策として“福祉のまちづくりの総合的推進”、“建築物等のバリアフリー化の推進”、“移動交通手段の充実”が掲げられ、公共的施設及び歩行空間のバリアフリー化の推進が位置づけられています。 (4) 倉敷市高齢者保健福祉計画  本計画は、老人福祉法第20条の8及び老人保健法第46条の18の規定に基づく計画で、“全ての高齢者が住み慣れた地域で健康で生き生きと安心して暮らせる社会の構築”を目的としています。  本計画では、「健康・生きがい・安心のまち 倉敷」を基本理念に以下の4つの基本目標を掲げています。  @ 健やかなまちづくり  A 生きがいのあるまちづくり  B 安心して暮らせるまちづくり  C 支え合うまちづくり    この中で、「安心して暮らせるまちづくり」においては、気軽に出かけられるまちづくりを目指して、“福祉のまちづくりの啓発”、“バリアフリー市民会議によるまちかどウォッチング”、“安全に通行できる道路環境の整備”、“民間施設バリアフリー化への補助金・融資”、“循環コミュニティバス*8の検討”、“ノンステップバス*9等の導入補助”などの取り組みが位置づけられています。 1−2.倉敷市の概況 (1) 位置・地勢  本市は、岡山県西部の瀬戸内海沿岸に、高梁川の河口付近を取り囲むように位置しています。市域面積は354.34km2(H17.10現在)です。  市域には山陽新幹線新倉敷駅があり、また、倉敷駅と岡山駅とはJR山陽本線で17分程度で結ばれています。市域南部の児島地区は、瀬戸大橋で四国と結ばれており、市域北部を山陽自動車道が横断し、東部を瀬戸中央自動車道が縦断しています。  昭和42年に倉敷・児島・玉島の旧3市が、46、47年には庄村・茶屋町が合併して、東瀬戸圏の拠点として発展を続けてきました。さらに、平成17年8月1日には旧倉敷市と船穂町、真備町が合併して、新しい倉敷市が誕生しました。 (2) 人口推移  本市の人口は、平成17年9月現在474,803人で、真備町、船穂町の合併により増加しています。旧倉敷市域では平成10年に比較して3%増加しています。 (3) 高齢者・身体障害者の状況 @ 高齢化の状況  65歳以上の高齢者が占める割合は、平成17年現在、市域全体で18.8%であり、全国平均20.0%、岡山県平均22.3%と比較して低い状況ですが、年々上昇しています。  地区別では、倉敷地区17.4%、水島地区16.3%、児島地区21.6%、玉島地区22.2%、庄地区17.6%、茶屋町地区20.1%、真備町地区20.1%、船穂町地区23.1%であり、児島地区、玉島地区、茶屋町地区、真備町地区、船穂町地区で20.0%を超えています。     A 身体障害者数  本市の身体障害者数は年々増えており、平成16年3月現在13,205人、総人口の約3%を占めています。障害別内訳では肢体障害が最も多く約60%を占めています。 (4)公共交通の状況 @鉄道  本市の鉄道は、東西方向にJR山陽新幹線及び山陽本線、北に向かってJR伯備線、市の東端部には四国と連絡するJR瀬戸大橋線が走っています。また、市の中心部と水島臨海工業地帯を結ぶ水島臨海鉄道が、市の中央部を南北方向に、岡山県総社市を起点として広島県神辺町を結ぶ井原鉄道が、市の北部を東西方向に走っています。  鉄道駅は、JR山陽新幹線新倉敷駅のほか、JR山陽本線に4駅、瀬戸大橋線に4駅、水島臨海鉄道に10駅、井原鉄道に3駅あり、合計21*駅が位置しています。  1日の鉄道乗降客数は、JR倉敷駅が32,832人/日で最も利用が多く、次いで新倉敷、中庄、児島の順に多くなっています。平成16年現在、1日の乗降客数が5,000人を超えている駅は、JR倉敷、新倉敷、西阿知、中庄、茶屋町、児島の6駅となっています。水島臨海鉄道倉敷市駅は約3,800人/日の利用がありますが、その他の駅は数百人/日程度の利用となっています。 Aバス  市内を運行する乗合バス事業者は、6社あります。バス路線は、平成17年現在62路線が運行しており、概ね市域全域をカバーしながら、倉敷駅、新倉敷駅、児島駅を起終点にした路線が多く設定されています。しかし、平成14年2月に「改正道路運送法」の施行後、不採算路線の減便、路線廃止が一部の路線で行われています。  バス利用者数は年々減少しており、平成5年から平成15年の10年間に約半分にまで減少しています。 1−3.交通に関する問題点と課題 (1) アンケート調査  基本構想の策定に先立ち、市民及び来訪者の交通に関する状況及び問題点、課題を把握するためにアンケート調査を実施しました。実施概要は以下の通りです。  @市民アンケート  アンケート実施概要(来訪者アンケート)    調査票配布数 4,919票    回収有効サンプル数 1,900票(39%)    調査対象者 ・住民基本台帳より無作為抽出した20歳以上の倉敷在住の方。    調査票配布、回収方法 ・アンケート用紙(依頼文付)、返信用封筒を郵送配布し、郵送回収した。    調査日時  ・ アンケートの発送 平成16年11月1日、2日          ・ アンケート回収  発送日から平成16年11月15日          ・ アンケート集計  平成16年11月19日以降     主な質問項目・ 外出状況について          ・ 「歩くとき」について          ・ 「鉄道を利用するとき」について          ・ 「バスを利用するとき」について          ・ 公共交通サービスについて  A観光施設アンケート(倉敷チボリ公園、美観地区)    調査票配布数 1,000票(各地区ごとに500票)    回収有効サンプル数 287票(29%)(倉敷チボリ公園99票、美観地区188票)    調査対象者 ・観光地来訪者    調査票配布、回収方法 ・往復葉書サイズのアンケート用紙(依頼文付)を調査員が配布し、当日の回収箱設置並びに郵送により回収した。    調査日時  ・ アンケートの配布 平成16年10月16日(土)10:00〜17:00          ・ アンケート回収  配布日から平成16年10月30日    主な質問項目・ 来訪時の交通手段          ・ 地区周辺の道路、交通サービスについて          ・ 交通サービスの必要性について          ・ 倉敷市の景観について (2) 交通に関する課題 市域の現況ならびにアンケートの結果から、本市の交通に関する課題は次の4点に整理されます。 @ すべての人が外出に不便や負担を感じることのない交通環境の整備  我が国の高齢化率は、世界に例を見ないスピードで進行しており、本市においても例外ではなく、高齢化率は、平成17年現在18.8%で、年々、上昇しています。地区によっては既に4人に1人以上が高齢者(高齢化率25%以上)であり、特に倉敷駅周辺では顕著となっています。  また、市民アンケート調査結果では、高齢者、身体障害者以外に「妊娠や子ども連れのため」、「けがや病気のため」に移動に不便や負担を感じる人が存在し、全体の24%を占めています。現在の交通環境では、高齢者、身体障害者等が利用するには不便や負担があります。  「鉄道を利用するとき」に約50%の人が不便や負担を感じており、エレベーターやエスカレーターなど、上下移動の設備整備が遅れている倉敷駅や西阿知駅などで、不便や負担を感じる人が多くなっています。  「歩くとき」は、全体の約50%の人が不便や負担を感じており、その理由は歩道の幅が狭いことや、歩道上に自転車や看板などの障害物があることなどがあげられています。  また、「バスを利用するとき」は、約80%の人が不便や負担を感じており、バスの便数が少なく、待ち時間が長いことが最も大きな理由となっています。  今後、高齢化が進行すると、移動に不便や負担を感じる人(交通困難者)が増えていくことが予想され、すべての人が不便や負担を感じることのない交通環境の整備が必要になります。 A自立した社会生活を支える交通手段・サービスの確保  モータリゼーション*10の進展以降、自動車利用が増え続けています。本市では自家用車保有率が約90%を越え、外出時に利用する交通手段に占める割合が最も高くなっています。その反面、路線バスの走行キロ数、輸送人員数は減少し続けており、平成5年から平成15年の10年間で約半分になっています。平成14年2月に「改正道路運送法」の施行後、不採算路線の減便、路線廃止が一部で行われており、公共交通サービスが低下しつつあります。  しかし、交通困難者の交通手段は、タクシーや路線バスの利用率が非交通困難者より高く、自動車の利用においても同乗(誰かに運転してもらって車を利用する)の占める割合が高い状況です。  高齢者や身体障害者等が自立した社会生活を送るためには、だれもが利用できる、利用しやすい様々な交通手段の提供とサービスの質的向上を図り、公共交通の利用促進を図っていく必要があります。  さらに、地球環境問題が深刻化する中、公共交通を利用し自動車利用を減らすことは、CO2の排出量の削減につながるなど、市民一人ひとりが身近に取り組めることです。地球環境保護の視点からも、公共交通の利用促進を図ることは有効です。 B観光を支える交通環境の整備、交通サービスの充実  本市は、年間約673万人の方が訪れる観光都市です。代表的な観光地である美観地区、倉敷チボリ公園におけるアンケート調査では、鉄道等で訪れ、徒歩による周遊観光を楽しむ観光客が多いことがわかりました。  高齢者や身体障害者をはじめとするすべての来訪者が、市域全体を周遊観光し、本市の魅力を感じることのできるまちづくりを進めるためには、歩道等の歩行環境やバス、タクシー等による交通手段・サービスを充実させることが必要です。 C市民の心と行動のバリアフリー  歩道の整備、鉄道駅のエレベーターの整備など、施設のバリアフリー化(ハード整備)を進める一方で、利用者側の心と行動のバリアフリー化が必要です。  歩道上の看板や放置自転車の問題に象徴されるように、バリアは物理的なものだけではありません。また、ハード整備が困難な場合においても、周囲の人々の支援により改善することも可能です。市民一人ひとりがバリアフリーについて理解し、協力する“心と行動のバリアフリー”の推進が必要です。 1−4.交通バリアフリー推進にあたっての基本理念、基本方針     本市の交通に関する4つの課題を解消するため、「ひと、輝くまち 倉敷。」の理念に基づき、子どもから高齢者まで、だれもが安全、快適に暮らせるまちの実現を目指した交通環境の整備、交通サービスの充実を図り、市域全体の交通バリアフリー化を推進します。  推進にあたっては、交通バリアフリー法を活用した市内の主要な駅及びその周辺地区の面的なバリアフリー整備を実施し、行政、交通事業者をはじめ、市民一人ひとりが交通バリアフリーに対する理解を深め、だれもが交通バリアフリーに協力し、互いに助け合う心のバリアフリーにも取り組みます。そして、まちも住む人の心も美しいまちを目指していきます。    【基本理念】   「ひと、輝くまち 倉敷。」の理念に基づき、高齢者、身体障害者等     だれもが安全、快適に移動し、活動できる美しいまちを目指す。  【基本方針】   ◆ハードとソフトが連携した交通バリアフリーの推進   ◆多様な交通手段・サービスが充実した持続可能なまちづくりの推進   ◆“おもてなし”の視点から交通バリアフリーの推進   ◆市民、事業者、行政の協働による交通バリアフリーの推進 (1)ハードとソフトが連携した交通バリアフリーの推進  市内の主要な駅及びその周辺地区(重点整備地区)のバリアフリー化を図るため、駅や駅前広場、バス、道路など交通施設のバリアフリー化を推進します。建築物等は、“倉敷市福祉のまちづくり条例”に基づきバリアフリー化を推進し、交通環境から建物等への連続したバリアフリー化を目指していきます。  また、バリアフリーについて市民の意識啓発を図り、市民、公共交通事業者、行政等、一人ひとりの行動と心のバリアフリー化もあわせて推進していきます。  施設整備(ハード)は、交通バリアフリー法の移動円滑化基準に基づきバリアフリー化を図っていきます。意識啓発(ソフト)は、広報活動を行っていくとともに、福祉教育、交通安全教育などと連携し推進していきます。   〔主な展開方策〕     ○交通バリアフリー法に基づく重点整備地区のバリアフリー化の推進     ○移動円滑化基準に基づく駅舎、道路、車両のバリアフリー化     ○倉敷市福祉のまちづくり条例に基づく建築物等のバリアフリー化の推進     ○バリアフリーに関する広報     ○福祉教育、交通安全教育等と連携した交通バリアフリーの推進 (2)多様な交通手段・サービスが充実した持続可能なまちづくりの推進  既存の交通手段・サービスの維持、改善だけでなく、高齢社会に対応した新たな交通手段の導入も検討していきます。  だれもがいつでも、どこでも、自由に快適に移動できるよう、多様な交通手段・サービスを提供していきます。また、環境にもやさしい交通手段・サービスの充実も図っていきます。  人にも環境にもやさしく、いつまでもまちが活性化し続けるような、持続可能なまちづくりを目指します。    〔主な展開方策〕      ○高齢社会に対応した新たな交通手段の導入検討      ○多様な交通手段・サービスの提供      ○公共交通の利用促進施策の展開 (3)“おもてなし”の視点から交通バリアフリーの推進  高齢者や身体障害者をはじめ、すべての来訪者が、本市に魅力を感じ、市域を安全、快適に周遊観光を楽しめるよう、“おもてなし”の視点から交通バリアフリーを推進します。  歩道等の歩行環境やバス、タクシー等による交通手段、サービスの充実させることをはじめ、案内誘導情報の充実、“おもてなし”の心の向上などに取り組んでいきます。    〔主な展開方策〕      ○周遊機能を支える交通環境の整備、交通手段・サービスの充実      ○まちのバリアフリーに関する情報提供の充実      ○“バリアフリーなおもてなし”の実施 (4)市民、事業者、行政の協働による交通バリアフリーの推進  だれもが安全、快適に活動できるまちをつくっていくには、市民、事業者、行政の協力と連携がなくては実現出来ません。また、今後のまちづくりでは、住民参加・参画が必要不可欠であり、特に、交通バリアフリーの推進にあたっては、高齢者、身体障害者等の意見の反映、計画への住民参画、事業の評価が重要になります。  市民、公共交通事業者、行政の協働による交通バリアフリーを推進していきます。    〔主な展開方策〕      ○高齢者、身体障害者など市民参画による交通バリアフリーの推進      ○事業の推進や事業実施後のフォローアップ*11を行うための体制づくり        1−5.重点整備地区の抽出  本市では、基本理念、基本方針に基づき、当面、交通バリアフリー法の対象となる特定旅客施設及びその周辺となる「重点整備地区」のバリアフリー化を推進していきます。  交通バリアフリー法では、以下のような要件を満たす地区が重点整備地区として位置づけられます。 特定旅客施設 @1日の利用者数が5,000人以上の旅客施設。 A当該市町村の高齢化率等の地域の状況からみて、高齢者、身体障害者等の利用者数が@の旅客施設と同程度と認められる旅客施設 Bその他、徒歩圏内に当該旅客施設を利用する相当数の高齢者、身体障害者等が利用する施設が存在し、当該旅客施設の利用の状況から、移動円滑化事業を優先的に実施する必要性が特に高いと認められる施設    重点整備地区 @特定旅客施設との間の移動が通常徒歩で行われ、かつ、高齢者、身体障害者等が日常生活又は社会生活において利用すると認められる官公庁施設、福祉施設その他施設(以下、主要な施設という。)の所在地を含む地区であること。 A特定旅客施設、当該特定旅客施設と主要な施設との間の経路(以下、特定経路という。)を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設(以下、一般交通用施設という。)及び当該旅客施設又は一般交通用施設と一体的に利用される駐車場、公園その他の公共の用に供する施設(以下、公共用施設という。)について、移動円滑化のための事業が実施されることが特に必要であると認められる地区であること。 B当該地区において、移動円滑化のための事業を重点的かつ一体的に実施することが、総合的な都市機能の増進を図る上で有効かつ    適切であると認められる地区であること。 (1)倉敷市における重点整備地区の考え方  本市には、旅客施設(以下、鉄道駅)として山陽新幹線、JR山陽本線、JR伯備線、JR瀬戸大橋線、水島臨海鉄道、井原鉄道の6路線21駅が位置しています。全市域の交通バリアフリーを推進するには全駅で取り組むことが望ましいが、鉄道の利用状況や都市構造などを踏まえると、地域によっては駅とその徒歩圏のバリアフリー化だけでなく、バスや自動車利用、その他交通サービスの改善を含めて検討すべき地域が存在します。  このため、交通バリアフリー基本構想では、法に基づく一定の基準である1日の利用客数5,000人以上の鉄道駅を対象に検討することとしました。市内には1日の利用客数5,000人以上の駅は6駅あります。この6駅で市内の鉄道利用者(80,468人:平成16年現在)の約89%を占めています。6駅を対象とすることにより、鉄道利用による交通バリアフリーは、概ね推進されると考えます。    【日利用者5,000人以上の駅】   JR山陽本線  倉敷駅、中庄駅、西阿知駅、新倉敷駅   JR瀬戸大橋線 児島駅、茶屋町駅   新幹線     新倉敷駅              (*新倉敷駅は在来線と新幹線で1つとしてカウントしている)    しかし、6つの各駅は、駅のバリアフリー化の状況や高齢者や身体障害者等の利用状況など、それぞれ特性が異なります。また、6駅について同時に基本構想を策定しバリアフリー整備を進めることは、作業も膨大となり財政的にも困難な状況です。  このため、本市では、交通バリアフリー法に基づき平成22年までに取り組む“重点整備地区”と、長期的には駅を中心とした交通バリアフリーに取り組む“重点整備候補地区”を設けます。そして、6駅に優先順位を設け、長期的な視野にたって交通バリアフリーに取り組みます。 基本構想策定に当たって、6駅同時に着手することが困難な理由 @交通バリアフリー法の目標年次が2010年であり、時間的余裕がない。 交通バリアフリー法では目標年次を2010年に定めています。  このため、基本構想で計画していく整備事業は、原則2010年までに実施していく必要があります。残り5年間で実施できる範囲とする必要があることから、6駅全てについて取り組むことは難しいと考えています。 A基本構想策定に多大な時間と人手を要する。  基本構想の策定には、高齢者や身体障害者等の利用者の意見を反映することが重要であり、きめ細かな調査等が必要になります。このため、6駅全ての駅を調査し、計画するには多大な時間と人手が必要となるため、短期間では取り組むことが難しいと考えています。  また、交通バリアフリーの推進には、エレベーターの整備をはじめ、歩道の整備、信号機のバリアフリー化など多大な費用が必要となります。市が所有する施設だけでなく、公共交通事業者、公安委員会など事業者、関連機関による整備が必要であり、経済状況が厳しい中、関係者各位にご協力をいただき、短期間に多大な投資をして6駅を同時に整備していくことは難しいと考えています。 (2)重点整備地区における整備目標年次     重点整備地区における整備目標年次は、交通バリアフリー法の目標年次である平成22年(2010年)とする。 (3)重点整備地区の選定の考え方  重点整備地区は、上位計画の位置づけや現況、市民アンケート結果などを踏まえて、以下の視点、指標により優先的に取り組むべき地区(重点整備地区)の選定を行います。     高齢者、身体障害者等市民ニーズ*12が高い地区    @現状のバリアフリー水準 駅・駅前広場等における上下移動施設のバリアフリー化状況    A施設の立地状況  主要施設の立地数、医療福祉施設の立地    B高齢化率  市の平均率との比較   バリアフリーの整備効果、効率が高い地区    C駅の利用状況  1日の利用者数    D交通結節機能  バス、タクシー乗り場の有無    E交通手段割合(鉄道端末交通・駅への交通手段) 自動車利用の割合(高い<低い)まちづくりとして重要な地区    F上位計画での位置づけ  位置づけ、役割     「高齢者、身体障害者等市民ニーズが高い地区」、「バリアフリーの整備効果、効率が高い地区」、「まちづくりとして重要な地区」の3視点、7指標で総合評価すると、倉敷駅周辺地区、新倉敷駅周辺地区、児島駅周辺地区の3地区が抽出されます。  平成22年までに交通バリアフリー法に基づく重点整備地区として整備する地区は、倉敷駅周辺地区、新倉敷駅周辺地区、児島駅周辺地区の3地区とし、残る3駅は重点整備候補地区として位置づけます。重点整備候補地区の中で、上下移動施設の整備が遅れている西阿知駅は、周辺施設の立地が少ないことを踏まえ、駅舎のバリアフリー化を先行して進める地区とします。中庄駅、茶屋町駅については、現在、既に一定のバリアフリー化が図られていることから、長期的視野に立って、質的向上を目指したバリアフリー化を目指す地区とします。  各地区の交通バリアフリーの進め方   A 重点整備地区(倉敷駅、新倉敷駅、児島駅)     交通バリアフリー法に基づき、平成17年度に基本構想を策定し、平成22年を目標に事業を実施していく。   B 重点整備候補地区    B−1 駅舎先行地区(西阿知駅) 駅舎のバリアフリー化を先行的に実施していく。    B−2 長期検討地区(中庄駅、茶屋町駅) 長期的な視野にたって、交通バリアフリーの質的向上を図っていく。 重点整備地区の選定の考え方   高齢者、身体障害者等市民ニーズが高い地区   @現状のバリアフリー水準    ・公共用通路〜改札口〜ホームへの経路上に上下移動がある。    ・エレベーターまたは福祉型エスカレーターが整備されていない      倉敷駅○ 新倉敷駅(改札〜ホームにはエレベーター有)△ 西阿知駅○   A施設の立地状況(1km圏)    ・主要施設の立地数が多い地区(上位2箇所)      倉敷駅○(20) 新倉敷駅(6) 中庄駅(9) 西阿知駅(1) 茶屋町駅(2) 児島駅○(19)    ・大規模な医療福祉施設が立地する地区      倉敷駅○ 新倉敷駅○ 中庄駅○ 児島駅○   B高齢化率 (1km圏)    ・市の平均値(18.8%)を上回る地区      倉敷駅○(23.1%) 新倉敷駅○(18.9%) 中庄駅(18.7%) 西阿知駅(16.0%) 茶屋町駅(16.9%) 児島駅○(20.1%)  バリアフリーの整備効果、効率が高い地区   C駅の利用状況    ・1日の利用者数が10,000人を越える地区      倉敷駅○(32,832) 新倉敷駅○(13,872) 中庄駅○(12,804) 西阿知駅(5,346) 茶屋町駅(7,082) 児島駅(8,532)   D交通結節機能    ・バス、タクシーの接続機能がある地区      倉敷駅○ 新倉敷駅○ 中庄駅○ 西阿知駅△(タクシーのみあり) 茶屋町駅○ 児島駅○   E交通手段割合(鉄道端末交通手段)    ・自動車利用の割合が30%未満の地区      倉敷駅○(8%) 新倉敷駅(32%) 中庄駅○(22%) 西阿知駅○(15%) 茶屋町駅(34%) 児島駅(32%)  まちづくりとして重要な地区   F上位計画での位置づけ    ・市の都市核機能の位置づけがある地区      倉敷駅○ 新倉敷駅○ 児島駅○  その他事項    倉敷駅 連続立体交差事業が予定されている。  総合評価   倉敷駅A 新倉敷駅A 中庄駅B-2 西阿知駅B-1 茶屋町駅B-2 児島駅A   1−6.重点整備地区の区域及び特定経路の基本的考え方 重点整備地区及び特定経路については、以下の基本的な考え方に基づき設定します。また、地区ごとに特性が異なることから、地区別 に整備目標を設定し、区域、経路の選定を行います。 (1) 重点整備地区の範囲  重点整備地区の範囲は、交通バリアフリー法に基づき、以下の3つの考え方を基本に設定します。   @ 特定旅客施設を中心に、多くの人が徒歩で移動する範囲  特定旅客施設である鉄道駅を中心に、徒歩圏として考えられる概ね、半径500m〜1kmの範囲。   A 高齢者や身体障害者をはじめ多くの市民が、鉄道駅からアクセスする施設を含む範囲  高齢者や身体障害者等多くの市民が、鉄道駅から徒歩でアクセスする主要な施設を含む範囲。  主要な施設は、市域全体で広域利用のある施設を基本としますが、アンケートやワークショップ等での意見を参考に、市民ニーズの高い施設を選定していきます。   (主要な施設)    ・ 官公庁施設    ・ 大規模な医療福祉施設(総合病院ベット数200床以上)    ・ 広域利用のある文化・交流施設    ・ 教育施設(高等学校以上)    ・ 大規模商業施設(延べ床面積10,000u以上)   B面的なバリアフリー化が望ましい範囲     施設の集積をはじめ、都市基盤の整備計画、土地利用のまとまり等を踏まえて、面的なバリアフリー化を図ることが望ましい範囲    (2)特定経路の選定  交通バリアフリー法において、特定経路は、重点整備地区内で、特定旅客施設から「高齢者、身体障害者等が日常生活又は社会生活において利用すると認められる官公庁施設、福祉施設その他の施設」までを結ぶ経路で、『重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準(平成12年11月15日建設省令第40号)』など、主務省令に定める基準(以下、移動円滑化基準と示す)に適合した整備を実施するものをいいます。  以下に示す選定の考え方に基づき経路を選定し、沿道状況、代替機能の有無、事業の実現性なども踏まえた上で「特定経路」、「準特定経路」のいずれかに位置づけ、事業計画を検討していくこととします。  (選定の考え方)   @ 特定旅客施設と主要な施設を結ぶ経路    高齢者や身体障害者等多くの市民が、特定旅客施設である鉄道駅及び駅周辺から徒歩でアクセスする主要な施設への経路。       A施設間の回遊性などを考慮した経路    官公庁施設、交流・文化施設、商業施設などが面的・線的に広がる地区では、施設間の回遊を考慮した経路。     (経路の位置づけ)  移動円滑化基準では、「特定経路」は、原則として、歩車分離を図り有効幅員2m以上や縦断勾配(5%以下)、横断勾配(1%以下)等の基準を満たすことが義務づけられます。  重点整備地区には、沿道条件等により用地買収を伴う道路の拡幅が難しい経路や、区画整理事業等により旧基準で完成したばかりの経路など、目標年次である平成22年までに整備を実施することが困難な経路があります。また、歩車分離はされていませんが、沿道に商業施設などがあり賑わいのある経路など、利便性や回遊性の視点からは重要な役割をもつ経路などもあります。  このため、本市では、法に基づく「特定経路」のほかに、地区の区域や道路条件等により、特定経路としての基準に適合した整備が難しいものや、歩行経路をネットワークする上で重要な経路について「準特定経路」として位置づけます。   経路の定義 定義 特定経路  鉄道駅から主要施設への主要なアクセス経路で、有効幅員2m以上など移動円滑化基準を満足することが可能な経路。 準特定経路T  鉄道駅から主要施設への主要なアクセス経路であるが、有効幅員2m以上の歩道の確保等が困難であるなど、構造上に制約がある経路。区画整理事業等により旧基準で完成したばかりの経路など、目標年次である平成22年までに整備を実施することが困難な経路。 準特定経路U  重点整備地区外の主要な施設をネットワークする経路で、特定経路に準じる整備を図る経路。 準特定経路V  鉄道駅から主要施設への主要なアクセス経路ではないが、複数ルートの確保や回遊性の向上を図る上で重要な経路で、主要なアクセス経路を補完する経路。 1−7.特定事業計画における整備内容の基本的考え方  本構想で定められた、重点整備地区及び特定経路において、公共交通事業者、公安委員会、道路管理者等が、各地区の特性及び問題点を踏まえて、それぞれ具体的な“特定事業計画”を作成し、交通バリアフリー化のために事業を実施していきます。  各特定事業を計画するにあたり、本市における整備計画の基本的な考え方として、目指すべき方向と水準を、次に位置づけます。 (1)公共交通(鉄道・バス)  交通バリアフリー法では、既に、事業の用に供している旅客施設及び車両等については、移動円滑化基準に適合させるための必要な措置をとることを努力義務としています。本構想では、各施設の整備状況等を考慮しつつ、交通事業者との協議調整を図りながら、高齢者、身体障害者等の意見を踏まえて、だれもが安全に快適に利用できる駅舎並びに車両のバリアフリー化を目指します。  整備にあたっては、『移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準(平成12年11月1日運輸省建設省令第10号)』に従い、また『公共交通旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン』及び『倉敷市福祉のまちづくり条例』に基づく整備基準を尊重し行います。 @ 移動動線  鉄道駅では、だれもが利用できる公共用通路から改札階、ホーム階のバリアフリー経路を1以上確保することを目指します。  高低差が大きく、上下移動が必要な箇所においては、エレベーターの設置を原則とします。  ただし、エレベーターの設置が困難な場合は、福祉型エスカレーター、階段昇降機等を設置するよう努めます。  (主な整備内容)   ・ エレベーターの設置(11人乗り以上)   ・ エスカレーター、階段昇降機の設置   ・ 出入口幅の確保、段差解消等 A駅ホームでの安全確保  視覚障害者、車いす使用者をはじめ、だれもが安全に利用できるホームのバリアフリー化を目指します。  ホームからの転落防止は、長期的にはホームドア*16など転落防止柵の設置が望まれますが、列車の車両形式、編成数、種別によって扉の位置が異なるなど、整備が難しいのが現状であるために、危険を伴うことの多い視覚障害者等への誘導施設の改善に努めます。   また、車いす使用者等が円滑に乗り降りできるよう、車両とホームの段差の改良を検討していく必要があります。  (主な整備内容)   ・ ホームの内外の区別のつく視覚障害者誘導用ブロック(内方線)の整備   ・ 誘導チャイム(階段等)の設置   ・ 車両とホームとの段差の改良(新規増築・大規模改築時)等 B誘導案内設備  視覚障害者や聴覚障害者をはじめ、外国人や市外からの来訪者などは、情報コミュニケーションに制約を抱えています。このため、だれもがわかりやすく、情報を簡単に入手できるよう誘導案内設備のバリアフリー化を目指します。  視覚表示施設(サイン、掲示板類)と視覚障害者誘導用ブロックなどの改善に努めていきます。また、近年の技術更新の状況を把握しながら、IT技術などを活用した案内システム*13の導入なども検討していきます。さらに、通常の情報提供だけでなく、災害時など非常における情報提供、誘導案内についても検討していく必要があると考えます。  (主な整備内容)   ・ サイン類のバリアフリー化(誘導サイン、位置サイン、案内サイン等)   ・ 総合案内板の設置   ・ 視覚障害者誘導用ブロックの改善   ・ 点字案内板の設置   ・ 可変式情報表示装置(運行案内等)の設置   ・ 音声案内の充実   ・ IT技術等を活用した案内システムの導入 C券売機、改札機、トイレ等の設備  車いす使用者、視覚障害者、聴覚障害者、高齢者、子供など、様々な利用者の利用しやすさ、わかりやすさに配慮した設備のバリアフリー化を目指します。  券売機では、車いす使用者に配慮した蹴込みのある構造、視覚障害者に配慮した点字案内、高齢者に配慮した大きな文字表示など、だれもが使いやすい仕様となるよう努めます。改札機は、車いす使用者、ベビーカーを押す人、大きな荷物持つ人などの通りやすさに配慮して拡幅改札の設置に努めます。また、券売機の蹴込みの確保など、技術更新が必要な改善についても検討を進めていきます。  トイレは、最もバリアフリー化に対するニーズが高い施設です。このため、車いす使用者に対応したトイレの設置をはじめ、オストメイト*14(人工肛門、人工膀胱造設者)に配慮した設備やオムツ交換台などを備えた多機能トイレ*15の整備に努めます。  その他施設として、電話、コインロッカーなどがありますが、車いす使用者や視覚障害者、聴覚障害者等にとって使いやすい施設でないのが現状です。だれもが利用しやすいよう各施設の改良を検討していきます。  (主な整備内容)   ・ 券売機の改良(点字・音声案内、金銭投入口の高さ、蹴込みの確保等)   ・ 多機能トイレの設置(車いす使用者対応、オストメイト対応、オムツ交換台の設置等)   ・ その他設備のバリアフリー化 D車両  鉄道車両は、車両の更新時期にあわせて車いすスペースの確保、行き先等の案内表示装置の設置などのバリアフリー化に努めます。  バス車両は、新規導入時にはノンステップバスを導入することを推進していきます。 (2) 駅前広場  鉄道駅からバス、タクシーへの乗り換えを円滑に行えるよう、だれもが安全、快適に利用できる駅前広場のバリアフリー化を目指します。  駅前広場では、駅舎出入り口から各乗り場への経路のバリアフリー化をはじめ、バス、タクシー乗り場や誘導案内設備のバリアフリー化に努めます。また、自家用車利用の円滑化にも配慮して、身体障害者用駐車スペースの設置なども検討していきます。  駅前広場は、まちの顔となる空間であることから、休憩施設の充実や緑化の推進などアメニティ(快適性)の向上も図っていきます。    (主な整備内容)   ・ 利用導線のバリアフリー化(視覚障害者誘導用ブロックの整備、段差解消など)   ・ ノンステップバスに対応したバス停構造の改善   ・ タクシー乗り場の段差解消   ・ 誘導案内設備のバリアフリー化(総合案内板、サイン等の設置)   ・ 身体障害者駐車スペースの設置等 (3)道 路  道路のバリアフリー整備にあったては、「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」に従い、また「 道路の移動円滑化ガイドライン」及び「倉敷市福祉のまちづくり条例」に基づく整備基準を尊重した整備を行います。 @特定経路  特定経路においては、「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」及び「道路の移動円滑化ガイドライン」に適合する整備を行います。 ◆幅員  歩道有効幅員2m以上を確保します。        ◆歩道形式  セミフラット型を原則とし、沿道の土地利用、街区構成などによりマウンドアップ型、フラット型とします。   ◆舗装  平坦で滑りにくく、水はけの良い仕上げとする。また適切な維持管理を徹底します。 ◆勾配  車いす使用者等の移動のしやすさに配慮して、縦断勾配5%、横断勾配1%以下を原則とします。   ◆歩車道境界  横断歩道等の切り下げ部は、車いす使用者の円滑な通行と視覚障害者が境界部を認知できる安全性に配慮した段差を設けます。  横断歩道に接続する歩道には、車いす使用者の安全性等に配慮し、信号待ちする滞留空間を設け、その平坦性を確保します。   ◆排水施設(溝蓋・グレーチング)  側溝は、できるだけ歩行の障害となるような位置に設けないことを原則とし、やむを得ず歩行通路上に設ける場合は、車いすの前輪や視覚障害者の白杖等が落ち込むことがないよう配慮します。 ◆視覚障害者誘導用ブロック  鉄道駅から施設を結ぶ主要なルートには、視覚障害者誘導用ブロックを連続的に敷設します。視覚障害者誘導用ブロックは、弱視者が認識しやすい色とし、敷設位置は幅員、沿道施設等の状況を勘案し設定します。 ◆休憩施設  幅員に余裕がある経路、坂道が連続する経路については、ベンチ等の休憩施設を設置します。   ◆案内設備  地図、絵文字、点字、音声など様々な方法により、だれもがわかりやすく、適切な情報を得ることができる案内設備の設置を検討します。 A準特定経路  準特定経路においては、市街地の状況や地形的制約等により、移動円滑化基準を満たすことは困難であるが、長期的には、基準に近づけるよう努めながら整備を進めます。現段階で歩車道が分離されていない単断面の準特定経路においては、移動円滑化基準の精神を尊重し、様々な工夫により、高齢者や身体障害者等が、安全に快適に移動できる空間の確保を目指します。 ◆歩行空間の確保   電柱など占用物の移設、車道幅員の縮小などにより、可能な限り歩行空間の確保に努めます。十分な空間を確保できない場合において 、路側帯のカラー舗装などにより、視覚的な空間の確保に努めます。 ◆交通規制の実施   交通管理者との協議を図り、沿道住民の理解と協力を得て車両の進入制限や一方通行化、速度規制など交通規制の実施を検討します。 (4)交通安全施設(信号機等)  『高齢者・身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に係わる信号機等に関する基準を定める規則(平成12年10月25日 国家公安委員会規則第17号)』に従い、信号機等のバリアフリー化を目指します。  ・ 信号は、歩行者の動線、利用状況、自動車交通量などを考慮して設置します。  ・ 信号機は、視覚障害者の認知のしやすさに配慮した方向性が確認しやすい音響信号機の設置に努めます。  ・ 信号の青時間は、高齢者や肢体不自由者、小さな子供など歩行速度が遅い人でも安全に横断できるよう調整していきます。  ・ 視覚障害者の横断歩道の歩行を支援する施設、エスコートゾーン*17(視覚障害者用横断帯)の試行的導入を検討します。 (5)建築物との連続性  平成16年10月に交通バリアフリー法の基本方針の変更が行われ、建築物の側のバリアフリー化と連携して、連続的な移動経路の確保が行われるように関係者間で十分な調整を図るべきことが位置づけられています。  歩道と建築物との間について、段差の解消や視覚障害者誘導用ブロックの連続性の確保などに留意し、旅客施設、歩道、建築物等の一体的なバリアフリー化を推進します。 (6)ソフト施策  真のバリアフリー化を目指すには、ハード整備のみでは実現しません。また、ハード整備だけでは早急な解決が困難である場合の補完的な取り組みとしても、市民、事業者の協力によるソフト施策が必要になります。  ソフト施策の推進にあたっては、市民、事業者の理解と協力が必要不可欠です。このため、バリアフリーに対する意識の向上、理解の深化、学習機会の提供、関連の情報提供などを行い、市民、事業者、行政の協働によりソフト施策を展開していきます。  (主な取り組み内容)   ・ バリアフリーに対する意識の向上、理解の深化   ・ バリアフリーに関する学習機会等の提供   ・ マナー向上の啓発   ・ 交通バリアフリー関連の情報提供   ・ 事業者、ボランティアによる人的介助支援