第V編 継続的な取り組みに向けて  今後は、基本構想策定時の特定事業計画に基づき、各事業を実施していくことになります。事業の実施にあたっては、基本構想策定時 と同様に、高齢者や身体障害者等をはじめとする市民の意見を聞きながら、多様な視点で計画、設計、整備を実施していく必要がありま す。また、各事業間の調整を行い、連続性のあるバリアフリー化を図ることはもちろんのこと、各施設が連携した効果的な整備が望まれ ます。  さらに、駅などの交通結節点を中心とするバリアフリー化にとどまらず、面的なバリアフリー整備を推進するとともに、今後は、すべ ての人が快適に生活できるユニバーサルデザインのまちづくりへと発展し、より安全で、快適なまちづくりを進めるため、継続的に改善 していく取り組みが必要となります。  本構想策定後は、以下のような取り組みを行い、継続的な改善のしくみを定着させます。   3−1.継続的な組織の設置  交通バリアフリー法では、基本構想及び特定事業計画の実施に向けて、特定事業計画の公表義務化がされています。  本市では、基本構想の実効性を担保するため、特定事業計画の進捗管理並びに協議調整を行う場として、“(仮称)倉敷市交通バリア フリー推進協議会”を設置します。  (仮称)倉敷市交通バリアフリー推進協議会は、基本構想検討委員会と同様に、高齢者や身体障害者等市民の参画を図り、学識経験者 、公共交通、道路、交通安全の各特定事業者等により構成する予定です。  また、(仮称)倉敷市交通バリアフリー推進協議会の実施内容を、ホームページや広報誌などを通じて広く市民に情報公開するととも に、事業の計画、設計、整備の各段階において、必要に応じて高齢者や身体障害者等の意見を聴取する場を設けていきます。 3−2.評価の実施  特定事業の整備にあたっては、国のガイドライン等に基づき、実施していきますが、地域特性等により、その地域にあった個別の工夫 や配慮が必要になります。そのため、行われる各事業に対して、すべての人が安全に快適に利用できるよう整備されているか、実際に確 認するための評価が必要です。  また、基本構想を実現することによって、市民一人ひとりが安全・快適に移動でき、歩きやすさを実感できるなど、満足度を確認する ことは、今後のよりよいまちづくりへの指針となります。  このため、各整備事業の事後評価と目標年次後のアウトカム効果の指標で*20測定を実施します。   (1) バリアフリー整備の事後評価の実施  特定事業実施後に、高齢者や身体障害者等、利用者による事後評価を実施します。利用者の視点から“改善された点”、“改善が不十 分な点”を確認することにより、今後の整備をよりよいものに高めていくしくみとなります。 (2) 目標年次後のアウトカム効果の測定  整備目標として、バリアフリー化された道路の延長やエレベーターの設置台数など、単純な数値による整備水準(アウトプット指標*20  )の目標だけでなく、利用者であり受益者である市民の立場に立ち、評価を行うため、高齢者や身体障害者等の生活環境の改善や、社 会参加の機会の向上など、市民にもたらせる成果を指標としたアウトカム指標を設けて効果を測定していきます。  基本構想策定時に実施したアンケート調査結果等を踏まえて、以下の目標値を設定します。   @ 外出機会の向上   A 公共交通利用率の向上   B 移動時の負担の軽減    この3項目について、基本構想策定後、継続的に、アンケート調査等を実施することによりアウトカム指標で効果を測定します。 3−3.バリアフリー化を図る地域の拡大(新法の活用)  本構想では、交通バリアフリー法に基づき、鉄道駅からの徒歩圏を対象に面的なバリアフリー化を推進することを位置づけました。し かし、本市において、鉄道サービスがカバーできる地域は限られており、高齢者や身体障害者等がよく利用する施設が、鉄道駅徒歩圏外 にも立地しているのが現状です。  このため、基本方針では、バスその他交通手段との連携を視野に入れ、長期的には市域全体のバリアフリー化を目指していくことを位 置づけました。  平成18年度施行予定のバリアフリー新法の活用を視野に入れ、施設等を中心とした面的なバリアフリー整備を推進するなど、バリア フリー化を図る地域を拡大し、建築物や公園なども含めた市域全体のバリアフリー化を目指していきます。  また、市域全体で公共交通のあり方を見直し、高齢社会において、だれもが安全に快適に活動できるまちを実現していきます。