2023年6月の所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。
はじめに、提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。
まず、6月2日からの台風2号及びそれに伴う梅雨前線の影響により、西日本から東日本の太平洋側を中心に大雨となり、各地で線状降水帯が発生し、1時間降水量が観測史上1位を更新した地域もあり、河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎました。この大雨で亡くなられました方々の御冥福をお祈りしますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。本市としましては、平成30年7月豪雨災害で大変お世話になった和歌山県内の自治体の方々と連絡を取り合いまして、6月5日に、和歌山県海南市、橋本市、かつらぎ町に職員4名を派遣して浸水家屋の片付けが本格化する中で必要となってくる支援物資を搬送し、翌6日には海南市からの要請に基づいてダンプ・パッカー車など車両3台と職員6名を派遣して災害廃棄物の収集運搬を支援しています。今後も、関係機関と連携を取りながら必要な支援を行ってまいります。
次に、4月22日、23日に開催の「G7倉敷労働雇用大臣会合」は、多くの皆様の御支援・御協力によりまして、無事、成功裏に終了することができました。会合では、「人への投資」等をはじめとして活発な議論が交わされ、最終日に「G7倉敷労働雇用大臣宣言」が採択され、世界に発信されました。本市が3月に開催した「G7倉敷こどもサミット」や「G7倉敷労働雇用大臣会合開催記念シンポジウム」の内容も反映していただいており、さらには、この宣言は、G7広島サミットで採択された成果文書にも反映されており、大変光栄なことと存じております。
市では、来倉された各国代表団の皆様に、なぜ労働雇用大臣会合が倉敷市で開催されているのかを御理解いただくために、労働と雇用を地域で守り持続的な発展につなげてきた歴史について御説明することとしました。具体的には、働くことについて学ぶ小学校の授業や倉紡記念館に展示されている労働環境改善の歴史、倉敷中央病院における障がい者雇用の現場、三菱自動車工業株式会社水島製作所の労働環境整備や電気自動車の生産技術など脱炭素への取組等を御視察いただいたほか、倉敷美観地区では景観保全の取組や大原美術館などを御紹介しました。
また、おもてなしの取組としては、地元主催の歓迎レセプションを市立美術館で開催し、学生による地元繊維産業の紹介や、地域の伝統芸能の披露、市内をはじめ高梁川流域の食材や岡山県内の地酒の提供などで代表団を歓迎しました。大臣会合の合間には、地元の茶道団体による呈茶や、G7おもてなし英語講座を受講した高校生ボランティアによる地元特産品の紹介などを行いました。
各国代表団からは、倉敷市の労働雇用の歴史やそれを受け継ぐまちづくり、温かいおもてなしなどについて、高い評価をいただきました。今後は、大臣宣言を具現化する国の施策とも連携しながら取組を進めるとともに、G7関係閣僚会合を2回開催した実績を、国内外からの更なるコンベンション誘致等に生かしてまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてですが、5月8日から、感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザと同じ5類に変更されたことに伴い、同日をもって倉敷市新型コロナウイルス感染症対策本部を廃止しました。ワクチン接種については、現在、65歳以上や、5歳以上で基礎疾患を有する重症化リスクの高い方等を対象とした令和5年春開始接種を実施中です。専門家からは、今後再び感染が拡大する可能性があると指摘されていますので、接種の対象である高齢者をはじめとした皆様には、ワクチン接種を御検討いただくようお願いいたします。
次に、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興についてですが、平成30年7月豪雨から間もなく5年となります。本市では、発災から5年となる7月6日に、マービーふれあいセンターにおいて、災害によりお亡くなりになられました方々を追悼するとともに、今後の復興への誓いを新たにするため、「平成30年7月豪雨災害 倉敷市追悼式」を執り行います。コロナ禍での開催となった令和2年度から4年度までは、規模を縮小して開催しておりましたが、今年度は、市議会議員の皆様や、真備地区の民生委員をはじめ、地域で活動されている方々など規模を拡大して開催したいと考えております。追悼式終了後には、献花台及び記帳台を当日はマービーふれあいセンターに、翌7日は真備支所1階に設置いたします。
真備地区の復興は、計画に沿って着実に進んでおります。治水対策については、令和5年度末までの完成に向けて、国の小田川合流点付替え事業は、南山の掘削が完了するなど、約8割まで工事進捗しています。県の3河川についても約8割まで工事進捗しており、引き続き、堤防嵩上げ・強化等の工事や末政川の工事に伴う橋梁改良を進めています。
復興防災公園(仮称)については、昨年度末に敷地造成工事が完了しており、5月末には公園へのアクセス路となる市道拡幅が完了しました。現在、国が公園の一部となる河川敷の整備工事を行っており、市では、7月7日(金曜日)と8日(土曜日)に児童生徒をはじめ、地域市民団体等の皆様と一緒に、約10,000平方メートルを芝生化するイベントを開催する予定です。建屋の建築工事についても、令和5年度末の完成を目指してまいります。
住まいや生活環境の再建も進んでおり、昨年末までに建設型仮設住宅が撤去となり、既に真備総合公園の多目的広場やテニスコート等の利用を再開したほか、見守りや心のケア等の支援についても、倉敷市真備支え合いセンターをはじめ、関係機関が連携して、支援を要する方々の状況に合わせた対応を行っております。
今年度は、真備地区復興計画の最終年度となりますので、この節目に合わせ、市主催行事として、「真備復興記念シンポジウム」を、8月11日(祝)にマービーふれあいセンターにて開催いたします。シンポジウムでは、吉備真備公を主人公とした物語を本年2月末まで新聞に567話連載された、直木賞作家である安部龍太郎氏による基調講演をはじめ、歴史、文化、復興関連の有識者によるパネルディスカッション等を行う予定としており、真備地区内外の方々に御来場いただき、広く真備の魅力発信やにぎわい創出につなげていきたいと考えています。
今後も、被災された皆様に一日も早く安心して落ち着いた生活を取り戻していただけるよう引き続き全力で復興に向けた取組を進めてまいります。
なお、5月8日から通行止めとなっている歩行者・自転車専用の川辺橋についてですが、真備地区側から2本目の橋脚が傾き、橋桁がずれ、路面に亀裂が入るなどしたため、市では、道路管理者である岡山県に対して、歩行者・自転車の安全確保と一日も早い復旧について要望しました。県は、5月11日から新川辺橋の西行きの路肩(南側)を1.25mに広げてカラー舗装し、歩行者・自転車の通行帯を設置して迂回路としました。6月4日からは、損傷した橋桁等の撤去作業に着手しており、6月中旬までの作業完了を目指すと伺っております。
また、防災・減災対策についてですが、中国地方は、5月29日に平年より8日早く梅雨入りしました。出水期における大雨等への備えとして、堤防や河川、用水路、ため池、排水機場、側溝などの事前点検を行うとともに、防災・減災対策の強化を図るため、ため池や排水機場の改修も行ってまいります。
また、6月1日から、避難行動要支援者の方及びスマートフォンをお持ちでない65歳以上の方のみの世帯を対象とした緊急告知FMラジオを1台2,000円の自己負担で御購入いただける購入補助事業を開始しました。
また、広報くらしき5月号と併せて配布しました洪水・土砂災害ハザードマップに続き、高潮ハザードマップにつきましても、広報くらしき8月号と併せて配布する予定としており、災害発生時における早めの避難行動につなげていただきたいと考えております。
次に、昨年来、エネルギーや食料品をはじめとした物価高騰が続いており、市民生活に大きな影響を与えております。電力・ガソリン・都市ガスについては、国の支援により、料金の減額が行われてきたところですが、LPガスについては、国の支援の対象から外れていることから、市では、LPガスを家庭で利用する皆様(市内約97,000世帯)の利用料金について、10月と11月分をそれぞれ1,000円ずつ、合計で2,000円を、申請手続きしていただくことなく、市で負担することといたします。
また、家庭のエネルギー費用負担の軽減に加え、ゼロカーボンにも資する省エネ家電への買替えを促進するため、市内の店舗で、省エネ基準達成率が100%以上のエアコン・冷蔵庫・温水機器(給湯器等)を購入する場合、設置工事費を含めた購入価格の4分の1まで、かつ、上限5万円までを助成いたします。また、飼料価格高騰の影響を大きく受けている市内畜産農家の負担軽減を図るため、飼養する種別及び飼養する頭羽数に応じて助成を行うとともに、タクシー利用者の負担軽減や利用促進を図るため、額面4,000円分のチケットを2,500円で御購入いただけるプレミアム付きタクシー券を発行いたします。
次に、G7倉敷労働雇用大臣会合の開催を契機に、既に中学生を対象に実施しているキャリア教育推進事業を市立の高校生にも対象を拡大いたします。市立高校に、社会保険労務士等を派遣して働くことの知識やルールなどについての講義を実施するほか、地元企業を派遣して職種ごとの特徴を紹介して実際の作業を体験する講座を実施します。
次に、長尾小学校について、令和7年度からの35人学級移行に伴い、教室不足が想定されるほか、既存のプレハブ校舎の解消を図るため、校舎を増築します。令和5年度から令和6年度にかけて基本・実施設計を行い、令和8年度中の完成を目指して整備を進めてまいります。
次に、本市では、倉敷中央学校給食共同調理場以外に、新たな学校給食共同調理場を3か所程度整備することを既に発表し、山陽ハイツ跡地及び児島の海技大学校跡地の2か所で建設・整備計画を進めていますが、新たに玉島地区に、学校給食共同調理場を整備するためのモデルプラン作成や概算事業費の算出等を行います。
次に、市では、倉敷市立高等学校体制整備基本計画において、市立玉島高等学校と市立精思高等学校を統合した新しい倉敷市立高等学校を令和9年度に開校することとしております。それに向けて、令和4年度から、旧霞丘小学校を改修しており、令和6年4月に精思高等学校の分校として、倉敷市立精思高等学校霞丘校を開校いたします。この学校は、生徒一人一人のニーズに柔軟に応える新たな役割をもつ高等学校として、教育内容の充実を図ってまいりたいと考えております。募集人員は、普通科60名、商業科30名、このほかに転編入学向けに普通科10名、商業科5名の枠を設置します。入学者選抜は、従来実施してきた一般入学者選抜に加えて、新たに特別入学者選抜も実施することとします。教育課程は、学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる単位制を導入します。単位制を採用することで、生徒は3年で卒業することもでき、4年かけて卒業することも可能で、自分のペースで学習に取り組むことができるようになります。
次に、全国から注目を集めている楯築遺跡ですが、国指定史跡であり日本遺産の構成文化財にもなっている重要な遺跡ですので、文化財の価値を損なわないように保存整備を行うため、令和5年度から令和6年度にかけて、文化庁と調整を行いながら、保存活用計画を策定いたします。この計画に基づいて、令和7年度以降に給水塔の撤去を行い、その後、発掘調査や史跡の整備を行う予定です。本市としては多くの皆様に楯築遺跡の重要性を感じていただけるよう努めてまいりたいと考えています。
最後に、新型コロナウイルス感染症の影響により中止しておりました倉敷国際トライアスロン大会を9月10日(日曜日)に、児島ボートレース場をスタート、フィニッシュ地点として4年ぶりに開催することとし、参加者募集の期間を延長して行っています。
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