平成22年度、本館が新たに収蔵した麻生三郎、高橋秀、寺田武弘らの作品を中心に展示します。
麻生三郎は、一貫して人間とは何かをテーマに、独自のリアリズムを追及した画家として近代日本美術史で特異な位置を占めています。「目のある静物」は、暗い色調の混沌とした画面から、鋭く訴えかけてくるような目が印象的な作品です。長年イタリアで活動し、現在、倉敷市在住の高橋秀は、明快な色彩と形態で生きる喜びやエロスを表現してきました。伸びやかな描線やコラージュによる大胆な色面構成に、作家のイメージの源泉を見ることができます。寺田武弘の「変位3」は、木材を丸のみで削り取り、削られた木と木屑をいっしょに展示する作品です。木屑も作品として提示することで、削るという行為とそれに伴う時間が鮮やかに浮かび上がってきます。この作品は最初1970年に制作され、昨年改めてつくられたものです。
その他、郷土を代表する彫刻家・大桐國光や三宅弘子の作品、岡山県重要無形文化財保持者・林鶴山の木工芸作品に加え、1879年に明治紀念標の建設のため寄付を募る目的で制作された森琴石の銅版画など約40点を紹介します。
●当館学芸員による列品解説会
日時:9月24日(土)14時~(約40分間)
会場:美術館2階 第2展示室
※参加自由。ただし、入場券が必要です。