Misaki Onishi

Misaki Onishi

クライストチャーチ市訪問倉敷市障がい者親善大使を終えて  

大西 美咲・弘美(同伴者)

■ほっとした瞬間

親善大使としての初日「クライストチャーチ空港」に降り立ち,空港内を不安な面持ちで歩いていたところ「ようこそクライストチャーチへ」の看板を手に近づいてきてくれた“バーバラ,リンダル,タニア,インディペンデント・フィッシャーリーズ社のケビンさん,そしてマルコムさん達”。クライストチャーチの初日は晴れていて少し蒸し暑かった。

■ボリュームにびっくり

現地についてからの最初のニュージーランド料理,しっかりと味わったものの,あまりの量の多さに驚くと同時にこれからの娘の体重の変化が気になった。

■リンダル・タニアの気遣いに感謝

早くも初日の夕食から日本食が恋しくなった私たちの「和食がイイ」の要望に対して,「私たちも和食は好きだから,食べられてウレシイ!」と同調し言ってくれた二人の心くばりに感銘した。

■緊張と感動の中での歓迎式

大勢の外国人を前に物怖じしたのか日頃の社交性が発揮できない。その様子を見かねた副市長さんがやさしく声を掛けて迎えに来てくれた。こわばった表情のまま会場内へ入ると気の利いた演出が待っていた。その日がタイミングよく娘の誕生日でケーキの準備がされていて,おまけに皆で歌まで合唱してくれた。こんなところまで来て誕生祝いなんて予想外の出来事だった。何度も何度も練習したスピーチも娘なりにガンバッテ無事終了した。色々な部分で心配りをしてくださり,そのことがすごく伝わって心にしみて,感動のあまり涙があふれた。


■予想外の人物が救世主に

心配していたホームステイでは,言葉が通じないことと初めての環境に順応できずイライラしている娘の姿があった。しかし,ホームステイ先の奥さんの知人である“エミコさん”の存在が微妙なクッションとなって本当に救われた。予め準備していた学芸会の様子を写したDVDを披露するとすごく場が盛り上がった。今度はスティーブン君が踊るダンスのDVDも見せてくれた。なんとなく国際交流ができた感じがした。

ホームステイでの朝食(左)・お世話になったエミコさんと愛犬チリ(右)

■輝いていた娘の瞳

ウイローバンクへ行き,マオリのショーを観た。音楽好きな娘は曲に合わせて体でリズムを刻んでいた。通訳の“ミエさん”の隣で瞳を輝かせていた。その夜,通訳で笠岡市出身の“ナオコお姉さん”と母親の付き添い無しで買い物に出かけた。ほんのわずかな時間ではあったがその間に,娘のいいところにいっぱい気づいていてくれていた。娘にとってさぞかし充実した一日だったのだろう,シャワーを浴びながら無意識の内に鼻歌混じりの娘だった。

■やり遂げたこと

どこまでも広がる草原,あちらこちらに羊・馬の群れが!ハンマースプリングへ行く途中のことだった。突然「馬に乗りたい!乗馬がしたい!」と自分の思いを訴えた。早速,通訳の方を通じ姉妹都市委員会へ伝えてもらいそれが実現した。当日,不安な面持ちで説明を聞き順番を待っている娘。「どうか,無事で帰ってきて」と大自然の中,悠然と進んでいく娘を見送った。1時間くらい経っただろうか満足そうにいい顔をして帰ってきた。そこでマットさんが一声「She is No1」大きな不安と一人戦いやり遂げた娘への言葉。私には別の意味のNo1に聞こえた。


■見えない絆

インディペンデント・フィッシャーリーズ社主催の夕食会へ向かう“トリシャ”が運転する車の中,娘・愛ちゃんが前に乗りいかにも楽しそうに三人で会話をしていた。その姿を後ろから見守る母親二人。とてもほほえましいシーンであった。娘たちに掛けられる言葉はもちろん「英語」であるが母親たちにはその内容が理解できない。そうすると「きっと・・・だよ」と一言,娘が教えてくれた。言葉は通じなくても心でつながっているんだ・・・。ピュアな二人は“トリシャ”の言葉を理解していた。帰国を二日後に控え,とてもリラックスしている様子だった。




インディペンデント・フィッシャーリーズ社のケビン夫妻(左)・夕食会(右)


アカロアの街・山・私たち

■最後に

帰国してマジマジと写真を見るとどの写真も本当にすばらしい笑顔だった。本当にニュージーランドは楽しかったんだなぁと改めて感じた。知的障がいの娘にいったいどんな国際交流ができるんだろう?パニックになったりしないだろうか?いつものことながら心配が先に立った。

しかし,そんな不安をよそに娘は初めての海外に興味津々であった。土地柄なのか?ニュージーランドは何にでもチャレンジしたいという気持ちにさせてくれる場所。通訳のナオコさんの自転車にも乗ってみた。ショッピングモールでデジカメプリントもしてみた。また,自分の服やベルトを選んでいる時も本当に楽しそうだった。

でも,一番楽しかったことは,同伴ではなく親から離れて通訳のナオコさんと行動した夜のショッピングだった。ホンの短い時間ではあったが年頃の彼女にとっては魅力的な時間になった。そろそろ子離れをする時期が来たようだ。今,親ができること,それは「やりたい!」と思うことをさせてあげる場所を探すこと。

今回の体験を通じて,親子共々前向きになれたこと,娘がかけがえのない宝物であるということに改めて気づかせてくれたこと。このことに対し,クライストチャーチのエクスチェンジで出逢った人と大自然・・・どこまでも続く青空に深く深く感謝いたします。“本当にありがとう”。


アカロアへ行く途中 ダイアンと娘,友達のミユキ(左)・ニュートン・シェリルと一緒に(右)