「高梁川流域の起業人」第6回

「高梁川流域の起業人」第6回

「高梁川流域の起業人」菓子工房よいち 渡邊良夫さん、渡邊ももこさん

「生きる力」と書かれた紙を二人で持った渡邉さんご夫婦


 渡邊良夫さん、ももこさん夫妻は、ともに倉敷市玉島出身。同じ高校の陸上部で知り合い、その後はお互い会社勤めで遠距離恋愛だったそうですが、結婚直前に大きな転機が訪れます。


 ももこさんの祖父が暮らす井原市芳井町では、特産の「明治ゴボウ」を使ったかりんとうが人気でした。しかし、製造する地元の職人が高齢で引退。それが祖父の育てたゴボウを原材料にしていたこともあり、ももこさんは「なんとかしてゴボウのお菓子を残したい」という思いで、ゴボウのかりんとう作りを継承しようと立ち上がりました。


 食品製造業が未経験の良夫さんは、未知の分野に不安を感じていましたが、「一度しかない人生だから楽しいことをやろう」という妻・ももこさんの言葉で起業を決意したそうです。


 一番の苦労は、事業が軌道に乗るまでの間でした。新規創業にあたり、まずは引退する職人の下で半年間の修行。その間収入はなく、結婚資金を切り崩して凌いだそうです。また、創業に関する費用はすべて自己資金で賄い、引退する職人から格安で設備を譲ってもらうなどしたため、無借金で事業をスタートできました。



 大きな飛躍を遂げたのは起業から4年目。きっかけは、井原市外の道の駅や農産物直売所での販売ルートができたことです。ももこさんは「営業ノウハウがなかったが、地元井原市(芳井支所)の職員さんがアプローチしてくださった。いただいたアドバイスは大きかった」と振り返ります。


 夫婦二人三脚で製造しているゴボウのかりんとうには、地元の特産品を応援する気持ちを込めています。「明治ゴボウの生産農家は高齢化が進み、だんだん減っている。かりんとうを作ることで明治ゴボウを広め、お互いにプラスになるのが今後の夢です」と語る渡邊夫妻。明るく楽しく、井原市芳井町の特産を広めます。


ごぼうのかりんとうの写真